第4話

愛梨は色紙を持って、江藤啓哉の控室を訪れ

た。

友達3人分のサインを頼むためである。

「初めまして。馬場愛梨と言います。今日はよろしくお願いします」

「あ、江藤啓哉です。こちらこそよろしくお願いします」

お互いに頭を下げる。

「あの……友達があなたの大ファンなんです。サインお願い出来ますか?」

啓哉は愛梨の持っていた色紙にサインした。

「名前は?友達の名前」

「美歩、咲良、芽以です」

「はい」

「ありがとうございます」

愛梨は色紙を胸の前で抱き締めた。

「友達みんな喜ぶわ」


可愛い……!

テレビで何度も見た事あるけど、こんなに可愛い子だったんだ。

凛とした着物姿もいい。

愛梨が見せた可愛い笑顔に啓哉は釘付けになっていた。

「じゃあこれで失礼します」

「待って……!メアド教えてくれないかな?」

このまま帰すわけにはいかない。

「ごめんなさい。用事があれば事務所にメール下さい」

愛梨は申し訳なさそうに言った。

「じゃあ、俺のメアド教えるから良かったらメールして」

啓哉はメモにメアドとケータイ番号を書いた。

愛梨はそれを受け取ると控室から出て行った。


「キャー!」

江藤啓哉のサイン入り色紙を手にして友人3人が悲鳴を上げて喜んでいる。

翌日の学校の教室である。

放課後なので他の生徒はいない。

「ありがとう!愛梨」

「どう致しまして」

愛梨は友達が喜び合っているのを見てつい笑顔が零れ落ちた。

「愛梨、聞いて!咲良が中井君に告白するんだって!」

「そうか……遂に決めたんだね。絶対上手く行くよ」

「ありがとう。愛梨」

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