第10話

翌日の朝、智也は有紀に包みを渡した。

何となく気になって開けてみると、お弁当箱の中に手作りクッキーが入っていた。


"りおちゃんへ


おどろかせてごめんね。

よかったらたべてください。"


梨央へのメッセージカードが付いていた。

三浦君……

三浦君ってこう言う人なんだ……

有紀は包みを元に戻すと、スポーツバッグの中に入れた。


「梨央。お姉ちゃんの友達がクッキーくれたの。梨央ちゃんへって」

有紀はお弁当箱の蓋を開けた。

「わあー!」

梨央の顔が喜びに輝く。

「食べていい?」

「晩御飯前だから一つだけね」

梨央は一つクッキーを食べた。

「美味しい!」

「そう。良かった」

有紀は柔らかな笑顔を見せた。

「お姉ちゃんも!」

「いいの?梨央へのプレゼントだよ」

梨央は大きく頷いた。

「ありがとう。梨央は優しいね」

有紀はそう言って梨央の頭を撫でた。

そしてクッキーを摘んだ。

「美味しい!これ滅茶うま!」

これ、手間かかってるんじゃないかな。

お母さんとか、お姉さんが作ったのかな……


翌朝、智也が靴箱を開けると、中に小さなカードが入っていた。


"くっきーありがとう

ご馳走さま。美味しかったよ


りお

有紀"


それは梨央が一生懸命に書いたものだった。

少し離れて有紀も書いていた。

「白藤…… 」

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