第9話
話があるの。お昼休みに屋上に来て……
突然有紀に言われて、智也はドキドキしてい
た。
話って一体何だろう……
智也が屋上に行くと、給水塔の裏に有紀がい
た。
「三浦君。急に呼び出してごめんね」
「いや、いいけど。話って何?」
「これ、食べて。妹が迷惑を掛けたお詫び」
手作り弁当だ……!
智也の頰は紅潮している。
「あ、ありがとう。泣かせたのはこっちなの
に」
「三浦君は親切で声を掛けてくれたのよ。ちゃんと分かってるから」
「此処で食べていい?」
「勿論よ。口に合うかな」
智也は床に座ると、早速弁当の包みを開けた。
有紀も隣に座る。
蓋を取ると思わず声を上げた。
俵形のおにぎりが6つと唐揚げ、卵焼き、ウィンナー、肉じゃが、ほうれん草のお浸しが入っていた。
「美味そう!」
智也は早速箸をつけた。
まずは卵焼きからだ。
出し巻き卵だ。
だしの風味が効いてとても美味しかった。
「美味いよ」
「良かった!」
有紀は安心したように息を吐き出した。
智也はあっという間に弁当を空にした。
「ありがとう」
「ううん。喜んでくれて良かった」
「洗って返すから」
「いいのよ。気にしないで」
「それは出来ないよ。明日返すから」
智也はそこは譲らなかった。
「分かった。じゃあ明日ね」
有紀はそう言うと校舎に戻った。
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