第5話
「ゴメンね。有紀。私、加藤君と付き合ってもいい?」
翌日の昼休みに、朱音は有紀を屋上に呼び出した。
「いいよ」
この時、有紀の気持ちはもう泣き空から青空に変わっていた。
「ありがとう…… 」
朱音は顔を覆って泣き出した。
「ずっと、ずっと親友だから」
有紀は朱音の両肩をしっかり抱いた。
「ありがとう、有紀ー!」
朱音はボロボロ涙を零している。
有紀は朱音を抱きしめた。
「ちょっと酷くない?親友の彼を寝取るなんて最低だよ!」
「そうそう。有紀は明るくしてるけどずっと影で泣いてるんだから!」
朱音は校舎の裏に呼び出されて、クラスの女子からネチネチ文句を言われていた。
「加藤君は有紀だから似合ってたの。
私らも認めてたんだから!アンタじゃないの」
朱音は黙って唇を噛み締めていた。
「止めなよ!」
そこへ有紀が走って来た。
「あんた達、此処で何やってるのよ!」
「だって有紀、朱音のやった事酷すぎるじゃない!」
「それはもう話がついてるの!みんなが心配してくれるのは嬉しいけど、朱音は私の親友なの!だから止めて」
有紀は朱音の手を引くとそのまま行ってしまった。
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