第2話

「白藤ちゃんに何か不満でもあるのか?」

岩崎哲哉が言った。

放課後、2人は誰もいない教室の中で話をしていた。

「ない。ただ好きな子が出来ただけだ」

加藤静が苦しそうに息を吐き出した。

「誰だよ。それは」

「立野朱音だ」

静は心を押し潰したような声で言った。

「それヤバくね?白藤ちゃんと立野滅茶仲良いしさ」

「分かってるよ…… 」

静は机にうつ伏せて唸るような声を出す。

「下手すりゃ2人の仲を壊してしまうし…… 」

「自分の胸の中にしまい込んでおく事は出来なかったのか?」

「哲哉…… 」

静はゆっくり顔を上げた。

「それがもう無理なら立野にちゃんと言うべきだ」

「それは有紀を苦しめる事になる。……そう分かってたのに好きな子がいると彼奴に言ってしまったんだ」

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