セカンド

水島あおい

第1章 セカンド

第1話

「えっ?」

放課後の学校の屋上である。

彼からの突然の言葉を聞いて、有紀の心に土砂降りの雨が降った。

「好きな子が出来たんだ。でもお前が好きなのは変わらない」

「別れるって事……?」

白藤有紀は胸が激しく痛み、呼吸をするのも苦しくなった。

「別れたくないんだ。お前は大事だし」

「何、勝手な事言ってるのよ!」

有紀は声を上げると、そのまま駆け出して行った。


「加藤君に好きな人って誰?」

立野朱音が話を聞いて有紀の背中を撫でながら言った。

帰り道、2人は駅近くの公園で話をしている。

「聞いてない」

「あんた、そこ肝心な所でしょう」

「聞きたくないよ!そんな事」

朱音は有紀を抱き締めた。

「それなのに……別れたくないなんて自分勝手な事言って!」

有紀は堪らずに叫んだ。

「有紀…… 」

「わああっ!」

朱音は優しく有紀の背中を撫でた。

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