第3話

「只の友達だよ」

真樹が紗来を見ながら言った。

「あいつは誰とでも仲良くなるタイプだし」

紗来はその言葉を聞いて思わず微笑む。

真樹の気遣いが嬉しい。

劇団あすかの休憩室で、稽古の合間の休憩をしている所である。

紗来は汗を拭いながら、スポーツドリンクを飲んでいた。

紗来、真樹、大河の3人は6歳の頃から同じ劇団あすかで練習している。

だがその差は天と地ほどもあった。

子供の頃から人気子役として活躍している大河と、劇団では役を貰えるものの他では友人役など脇の1人を演じる紗来と真樹。

いつか舞台に主役として立ちたい。

それが紗来の夢である。

そして真樹は大河に負けない役者になりたいと思っていた。

3人は同じ15歳。

高校1年生である。

今の紗来と真樹には主役は果てしなく遠い夢であった。

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