第5話

trueheartで、ギター片手に自分の作った歌を歌う。

お客さんも歌に聴き入っている。

優衣は歌を熱唱した。

優衣は毎週日曜日の午後に歌っている。

優衣にはファンも既についていて、テーブル席もカウンター席も客でビッシリである。

優衣にとって歌っている時はとても幸せな時間だった。

恋はまだ分からないけど、それよりも歌っている方がいい。


その歌声は明らかに他の人とは違っていた。

アマチュアバイトrootのボーカルだった。

優衣は目の前のコーヒーの存在も忘れていた。

こんなに切ない気持ちは初めてだった。


「アマチュアボーカル?って言うか優衣から初めて恋バナ聞いたー」

由希奈を始め、友人達は口を揃えて言った。

「違うってそんなんじゃない」

優衣は両手を振った。

「まだ優衣はさー。本当の恋を知らないのよ」

祐実がそう言って優衣を見た。

「優衣はこれからよねー」

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