第9話

環奈はさゆりを連れてホワイトロードにやって来た。

丁度、店内は客が切れて静かだった。

優弦はテーブルを拭いている。

「ゆず、私、みんなに言えた。私の友人のさゆり。どうしても此処へ連れて来たくて」

「いらっしゃいませ」

優弦は柔らかな笑顔を見せた。

今日はカウンター席ではなく、テーブル席に座る。

「さゆり、何にする?」

「コーヒーにする。だっていい香りがしているもん」

注文を取りに来た優弦に環奈は言った。

「ブレンド2つ」

優弦が行くと、早速さゆりが口を開いた。

「素敵ー!大学生かな?」

「あーそこまだ訊いてない」

環奈は久しぶりにさゆりと話が弾んでいた。

其処へブレンドが運ばれた。

「ねえ、ゆず。ゆずって大学生?」

「高2」

「高2⁈何処の高校?」

「瀬良高校」

「同じ!」

「分かっているよ。それ、瀬良の制服だよな。1年?」

優弦は笑いながら言った。

「はい」

「桐野優弦です。改めてよろしく」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る