アイランドの女

@2321umoyukaku_2319

魔法の島から来ました

 入国管理官の男は私に疑いの目を向けた。

「持ち込み禁止の品を持ち込んでいないか調べる。裸になれ」

 前文を訂正しなければならない。あれは疑いの目ではなく、好色な目付きだった。

「言うことを聞け。さもないと、この国へは入れないぞ」

 嫌らしいったらありゃしない。アイランドからの移住者には、セクハラしてもいいってお達しが出ているのだろうか?

「大人しくしろ、アイランドには戻れないんだ。さっさと裸になって、股を開け」

 そう、アイランドへは帰れない。もうすぐ消滅するからだ。だけど、セクハラ野郎の言うことを素直に聞く気にはなれない。

「早くしろ、痛い目に遭いたいのか?」

 男は皆、脅せば女は言うことを聞くと誤解している。その過ちを正してやるのも、アイランドの女の務めだ。

 私は小さな声で呪文を唱えた。効き目はすぐに出た。私に迫ってきた入国管理官の男は血反吐を噴きながら倒れた。その場に男を放置して、私は入国管理室を出る。

 新しい土地での生活が、これから始まる。

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