第72話 俺のスキルは買い物のためじゃないんだが?
「まったく、俺が癒して欲しいっていうのに、どうしてこれから買い物に行こうと、ウキウキしているお前達を癒さなくちゃいけないんだ」
『きゅい? きゅいぃぃぃ!!』
『ぷぷぷ~、ぷぷぷ?』
『けんいがいにも? えいがとおなじのうってるの!?』
『ぷぷぷ~、ぷぷぷ、ぷぷぷ~』
『あっ!! そういえばそうかも!! ぼくのもう1つのおうちにも、いろいろなようふくをきてたひと、きてたよ!!』
『きゅい、きゅいぃぃぃ! きゅう!!』
『ぷぷぷ~』
『うんうん、じゃあじゃあ、げんきになっていかないとね!! タクパパ、げんきにして!!』
「……そういうための力じゃないんだが?」
「何だってか? まぁ、大体の予想はつくけど」
簡単にいうと、ラビが最初の俺の言葉に、どうして? それはもちろん買い物のためだよ。ププちゃんが、剣買うの楽しみ、剣以外にも買ってもらえるかなぁ。そしてクーちゃんの言葉。
その後はププちゃんが、そうだよう、だっていろんな洋服を着てる人達が、いろいろなど道具を持って、ダンジョンにいっぱい来てたでしょう。それにクーちゃんの返事。
最後にラビが、そうそう、だからいろいろ見て、いっぱい買ってもらわなくちゃ!! それには癒しが必要!! ププちゃんが、元気、癒し!! そしてクーちゃんが、元気にして!!
という感じだ。昨日の配信後、もちろん注意したさ。配信中に何してるんだって。それでその後、全部の道具をしっかりしまって、遊べないようにバトルしないようにしたんだけど。
ただそれから、まぁ、しょぼくれるしょぼくれる。ただ、しょぼくれながらも、どうしても変身して、遊びたかったんだろう。
配信の部屋に置いてあった道具の中から、ワタやらティッシュやらを持ち出し、ノリで自分の顔にくっつけようとしたり、曲がったりくちゃくちゃにしながらも、チラシを丸めて剣みたいにしたりと。
顔にノリを付けようとした時は慌てたよ。でもそこまでするほど、あの面白い格好をしたがるなんて。曲がっていてくちゃくちゃのチラシの剣でも、一生懸命に懸命遊ぶ姿を見て。
それから配信中に、後で作るか買ってやるって言ったことを思い出して。配信から次の日の今日、買い物に行くことになったんだ。
が、買い物に行く前に、しっかり買い物をするために。というか俺にいろいろ買わせるために、万全の状態でお店に行って、物を選ばなくちゃいけないって事で。癒しとリフレッシュをしてくれと言ってきたんだよ。
確かに俺のスキルは、みんなを元気にできるけどさ。でも買い物のためのスキルじゃないんだぞ? 大体お前達は俺と家族だから、すぐに癒しを受けられるけどさ。普通はそんなに何回もいつでも、癒しを受けられないんだぞ。
「ははは、やっぱりそんな事を言ってると思ったよ」
「笑ごろじゃないよ。まぁ、俺の大切な家族だし、いつも元気でいて欲しいけど。どんな時に使うか、もう1度詳しく話しをしないとダメかな」
「クククッ、それで分かってくれると良いけどな。で、今回はどれだけ買ってやるつもりだ?」
「一応パーティーグッズを売っている所に行って、口髭やら眉毛やら、好きな物を買わせてやるつもりだ。変身用グッズもいっぱいだからな。それと後はブーちゃんのパーティーメガネは絶対だな。あれもなんだかんだ、いろいろ種類があるからさ。好きな物を選ばせてやるよ」
昨日、ブーちゃんからも父さん専用パーティーメガネを返して、いや奪い返したんだけど。まぁ、俺を攻撃してくる攻撃してくる。
お尻で尻アタックしてきたり、いつもは空振りばかりの、あの短い足の蹴りを、昨日は全部の蹴りを決めてきて、俺のジーパンを破りそうになるったり。蹴るついでに、爪で引っ掻いてたからさ、破けそうになったんだ。
最終的にはあの新しい技、ゴロゴロ転がりで、体全体体当たり攻撃をしてきたよ。そのせいで俺は危うく、ジュースをパソコンにぶちまけそうになって、どれだけ肝を冷やしたか。まだデータを記録してなかったからさ。
「どれだけ気に入ったんだよ。だってパーティーメガネだぞ。おもしろグッズだぞ。まぁ、お前の親父さん専用のってのあれだけど」
「普段何もない時に使うのは、俺の父さんくらいだろうからな。今日からはそこにブーちゃんも加わるけど」
「で、そのブーちゃんはどうしたんだ?」
「朝起きてすぐ、すごい勢いで癒せって言ってきてさ。本当に凄い勢いだったから、理由が分からなくても癒してやったんだけど。たぶんあれ、今のラビ達と同じ理由だったんだろうな。お前がきてからすぐに、玄関でスタンばってるよ。いつでも出かけられますってな」
「……本当、どれだけだよ」
「父さん、昨日いなかったからしれないけど、帰ってきてブーちゃんを見たら歓喜しそうで、今からちょっと憂鬱だよ」
「お揃いで付けて、外に出るんじゃないか?」
「……後は剣やその辺の道具だな。おもちゃい売り場で、可愛いのからカッコいいのまで売ってるから、好きなのを買ってやるさ」
「……まぁ、考えたくないのも分かるよ」
「よし、じゃあ全員1列に並べて!! これ以上うだうだ言って遅くなると、またブーちゃんが、早くしろよ、って攻撃してくるかもしれないからな」
『きゅい!!』
『ぷぷぷ〜!!』
『うん!!』
ラビ達にまとめて癒しとリフレッシュをする。そうして玄関へ行けば、じゃっかんイライラして待っているブーちゃんが。
「今から行くって。母さん!! 行ってくる!!」
「帰りは!?」
「夕方までには帰ってくるよ!!」
「分かったわ!! 行ってらっしゃい!!」
こうして俺達は協会の販売店へと向かった。
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