第67話 みんなのいらない期待と治療は終了

「さて、待たせたな! みんな治療を始めるぞ!!」


 予約の魔獣達全員の治療を終えた俺は、修也の魔獣達、ビックファイヤーモンキーとキックバードとメッセージバード達の所へやってきた。

 他の魔獣達は帰った魔獣達もいるけれど、この前みたいに家族と話すこともあるから、それまでここで遊んで待ってもらっている。


 と、いうことで、魔獣大好きハルトにラビ達を任せ、他の魔獣達と遊んでもらっているうちに。俺はビックファイヤーモンキー達の治療と、話しをすることに。


 まったくまいったよ。他の魔獣を治療していた時に、何故かいつもよりも俺に話しかけてきて魔獣達。みんなに通訳してもらったら、これから戦うの? ここでやるの? 僕達応援するよ、などなど。


 みんながラビ達と、ビックファイヤーモンキー達とのバトルを楽しみにしていてさ。そんなことはしないと言えば、えぇ~とぶうたれたり、残念がったり。どれだけ楽しみにしてたんだか。


 一応はバトルをしないと分かってくれたんだけど。あそこ、小さな子魔獣達が集まっている場所では今。さっきのラビ達の真似をして、睨み合い、それからバトルする真似をしながらステップをする、という遊びをしているよ。


 あんな遊びを覚えちゃって、後で家族に文句を言われるのは俺や協会なんだぞ? 本当そういうことばっかり真似するんだよな。


「まずは誰から治療するか。全員やるのは決まってるけど、1番酷いお前からやるか」


 俺はビックファイヤーモンキーから治療をしようとする。が、そんな俺を止めて、ビックファイヤーモンキーとキックバードがメッセージバードを前に出してきた。

 どうやら1番歳も大きさも小さい、メッセージバードから治療をしてくれということらしい。


「分かった、じゃあお前から治療しような」


 優しい奴らだなと思いながら、メッセージバードの治療を開始する。他の契約しているビックファイヤーモンキーやキックバードは、自分が自分がって感じの奴が多いいんだ。


「そうだ、忘れるところだった。今日はみんなにスペシャルな治療をしてやるぞ」


『グワアァァァ?』


『ギギギィ?』


「あ~、そうか。今はクーちゃんがいなかったんだった。細かいことまで分からないよな」


 少しの言葉だったら、雰囲気で分かってくれたかもしれないけど、急にスペシャルな、なんて言ったって、ビックファイヤーモンキー達に伝わるわけがない。仕方ない、またバトルしようとしないか心配だけど、クーちゃんを呼んで伝えてもらうか。


 と思った時だった。いつもはここに来ない裕子さんがガルーちゃんとやって来て、俺達を見ると急いで近づいて来た。


「もう話しをしちゃった?」


「いいえ。今治療を始めたところで」


「じゃあ良かったわ。もしかしたらってこともあるでしょう? だからできたら一緒に話しを聞いて、報告するべき事があれば書き留めておこうと思って。私達が居ても良いかしら」


「あ~、治療は良いと思うんですけど話しは。俺は前に1度話しているんで大丈夫だと思うんですけど」


「やっぱりそうよねぇ。受付にいた時も、ガルーちゃんにしか話してこなかったし」


「とりあえず治療をしてしまうので、待っていてください。あ、とその前に、ガルーちゃんに、彼らに伝えてもらいたい事があるんですけど、良いですか?」


 裕子さんに頼んで、裕子さんからがルーちゃんに伝えてもらい。ガルーちゃんにスベシャルな、普通よりも良い治療をしすると、ビックファイヤーモンキー達に伝えてもらう。こういう時、自分と契約していない魔獣とも話しができたら良いのにと思うよ。


 そして話しを聞いたビックファイヤーモンキー達は、一瞬目を見開いたけど、すぐに元に戻って静かに頷いた。

 メッセージバードは一瞬ニコッと笑って、少しだけステップをして。キックバードに止められていたよ。


 スペシャルとは、どんな治療かと言えば、まぁ簡単なもので。俺が作ったポーションを飲ませてるだけだ。これは使った能力の効果を引き伸ばす物で。ポーションを飲めば普通よりも長い間、その効果を受ける事ができる。


 効果を伸ばすポーションは元々あったんだけど。なんとなく俺の力お使いながら、そのポーションを作ったらどうなるのかな? 

 とやってみたら。なんと元々のポーションよりも長く、俺の癒しの効果を引き伸ばす事ができる、ポーションを作ることに成功してさ。


 俺の力にしか反応しないため、俺専用のポーションで。だけどなかなか作るのが大変だから、よほどの事がない限り使わない。今回ビックファイヤーモンキー達に使うのは、治療してからそんなに経っていないのに、また真っ赤に悪化していたからだ。


「さぁ、癒しスキルの方はこれで終わりだ、あとはこのポーションを飲んでくれ。もっちもっと元気になれるし、その元気が長い間続くからな」


 ガルーちゃんに伝えてもらうと、すぐにグクゴク飲んだメッセージバード。味は魔獣達が好む木の実の味だから、大丈夫だと思っていたけど、よほど美味しかったらしい。おかわりを催促された。ポーションのおかわりって。

 それを見た裕子さんがクスクス笑いながら、別にちゃんとした木の実のジュースを用意してくれたよ。


 そしてメッセージバードの治療が終われば、次にキックバードを治療し、同じようにポーションを飲ませたあと、最後にビックファイヤーモンキーの治療をした。

 みんなの1度俺の治療を受けていたからな、怖がったり嫌がらずに、治療を受けてくれたよ。


 こうして全員の治療は終了。だが今日の俺は、ここからももうひと仕事だ。


「さて、話しをするけど、どうするか」

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