第68話 まさかの返答
「それにしても、修也には驚いたな」
「ああ、絶対に無理だと思った提案だったけど、まさかその提案に乗ってくるなんて。一応裕子さんからの提案ってことにしておいたけど、流れ的に俺からの提案だって、気づいてたとおもうんだよ」
「だよな。俺もそれはそう思うは。大体癒しをやれるのはお前だけだしな」
「まぁ、とりあえず提案に乗ってくれて良かったよ。いつまで続くか分からないけどな。もしも途中で止めるって言われたら、あいつらにまた、ガルーちゃんでも誰でも良いから、伝えるように言わないといけないけど」
「あれでも契約関係が成り立つって言うんだから。人それぞれ、魔獣それぞれ、考え方はあるけど、俺には修也達の考えはあんまりな」
「お前は魔獣マニアだからな。妹とそのマニア度を競うくらいの」
「魔獣マニアだって? 魔獣愛と言ってくれ!!」
「その魔獣愛とやらで、毎回毎回絶対に1回は魔獣に引かれてるが?」
「あれは引いているんじゃない。俺の魔獣愛をみんなが受け取れるように、皆が1歩引いて、みんなで一緒に愛を受け止めてるんだ」
「……どう考えても引いてるだろう。どうしてそういう考えになるんだよ」
「そうだ! ラビと出会った日記念がもうすぐだろう? お前も色々考えてると思うけどさ、俺もちょっと考えたことがあるんだよ。今度何もない時にゆっくり話すから、ぜひ俺の提案も採用してくれ!!」
「やりすぎな提案は却下するからな」
「まさか、絶対にラビが喜ぶことだから、安心してくれて良いぞ!!」
……安心できない。晴翔の魔獣愛は強ずぎるんだから。今日だってこの前同様、魔獣達が引いていたっていうのに。子魔獣達なんかあんまりのことに、晴翔の事を敵認定してたぞ。
大人魔獣達に晴翔がどんな存在か聞いて、後から一応的認定は解除されたけど。それでも最後まで不審者扱いだ。
と、それは良いとして。いや良くはないが、それは晴翔の問題だから俺は知らん。もしもそれで魔獣達がストレスを感じるなら止めるけど。今の問題はキックファイヤーモンキーとキックバードとメッセージバード達の事だ。
治療を終えて話しをしようとした俺。せっかく来てくれたんだから、ちょっと話しをしようと、俺が持ってきていたご飯をあげながら話しをする事に。ご飯も前回の事があったからか、抵抗なく食べてくれたよ。
そうしていざ、話しを始めようとしたんだけど、その時急にビックファイヤーモンキー達の動きが止まった。裕子さんが近づいて来たからだ。その動きに、やっぱり話した事がない裕子さんがいるとダメかと。結局裕子さんには離れてもらい、クーちゃんに通訳してもらう事に。
「最近はどうだ?」
「どんなダンジョンへ行っているんだ?」
なんて質問からした。修也はどうだ? 契約していてどう感じる、なんと直球では聞かなかったよ。もしも何かを聞かれたか、後で修也に確認されたら面倒になるからな。
そうしたら、どうも少し前まで、命令される事が少なくなっていたようだ。修也達しかできない仕事をしているとかで、その間キックファイヤーモンキー達は、修也達のことをただ見ているだけだったと。
例えばいつもだったら、毒の沼に入るのも、そこで探し物を探すのも荷物を運ぶのも、自分達がやっていたのに。それも修也達が変な洋服を着てやっていたらしい。だからその間は、自分達で自由に魔獣を倒し、それを食べていたと。
修也達が魔獣を使わずに自分達だけで? 勝手に魔獣を倒す? 面倒ごとは全部魔獣達にやらせる修也達が?
元に戻ったのは少し前。修也が元通り自分達に命令をしてきて、自分達は戦う事が好きだから、強い魔獣を倒せと、沢山の魔獣を倒せと言われて、最初は喜んで倒したと。
が、その命令の仕方と量が、かなり違ったようだ。数日で俺が初めて癒しをした時と同じくらいまで、疲れが溜まるほどに増えたらしい。
それに命令の時は怒鳴ってくるし、無理難題も言ってくるようになって。自分達が戦い好きで、戦わせてもらう変わりに、他のことをやれと言われればそれをするが。あまりにもの変化に、最初にメッセージバードが倒れそうになったと。
すぐに修也に言い、ポーションで治してもらったメッセージバード。その辺、体の回復に関しては、修也もしっかりやっているようだ。まぁ、最低限みたいだが。
それでそのポーションもで治してもらったけれど。どうにもやはり疲れが取れず。そこで俺の話しを思い出して、俺に言われた通り、魔獣に話してみたらしい。
と、いうような事を、俺が聞かなくても、自分達で話してくれた。
ご飯も自分達で用意できていっぱい食べられるし、たくさん戦わせてくれるし、怪我もすぐに治してもらえる。怒鳴られるのはメッセージバードが嫌がるから、なるべくやめて欲しいけど、別に問題はない。
ただ、疲れるのだけどは治せないから、ここで俺に治療してもらえると分かって良かったと。
修也にそこまで不満があるわけではないようだった。それはまぁ良かったが、ここで俺の治療してもらえると分かって良かったと言われたけれど。この後も修也がどれだけここへ来てくれるか。
そこで俺はある提案をする事に。きっと俺からの提案だと気付かれるだろうけど。裕子さんに、定期的に治療を受けて、リフレッシュしてみないか、と修也に提案して貰ったんだ。
みんな元気にダンジョンに入った方が、言いに決まっているとかなんとか。提案理由は裕子さんが、いろいろと修也に言ってくれてさ。
まぁ、俺も裕子さんもダメ元だった。修也が魔獣達のために癒しだなんて、そんなこと思わないのは分かっていたからな。
が、修也からはまさかの返答が。じゃあ日にちを言えば、その時に連れてくる、と言ってきたんだよ。まさか提案を受けるなんて。
慌てて裕子さんは俺の予定を確認。それと今回のキックファイヤーモンキー達の状態を考えて、すぐに連絡をすると修也に言い。修也はそのままキックファイヤーモンキー達と帰って行った。
それで、毎回特別枠に入れるってわけにもいかない。でもせっかく連れて来てくれるというのにあまり待たせて、そのせいでやはりやめる言われても困るって事で。俺がいつも定期的に、ある素材を売りにくる日があるんだけど。その日に来てもらう事にしたんだ。
急に修也達が命令しなくなった期間があったが、その後はいつも以上に命令内容がきつくなった。そしてこれまた急に、魔獣達のことを考え、治療を受けさせる事にした? 一体修也は何を考えているのか。
だがそれでも、せっかくキックファイヤーモンキー達を連れて来てくれるというのだら、しっかり治療してやらないと。
「あいつ、また何か面倒な事を考えてるんじゃないだろうな」
「どうだろうな」
「お前の力を狙っているとか」
「まさか今更だろう。それで追放したんだし」
「あの時は、お前の真の力を知らなかっただろう?」
「それにしたって癒しだぞ? 戦闘しか興味のない奴が、癒しを求めるかよ」
「自分の魔獣にだけ癒しさせて、体調を万全に保つとかさ」
「どうだかな」
「まぁ、あまりにもすんなり提案を受け入れたんだ。何かあるかもしれないから、一応気をつけておいた方が良いだろう」
「そうだな。キックファイヤーモンキー達のことはとりあえず良かったけど、修也の方は気をつけておこう」
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