第66話 何故盛り上がる?

「よう、元気だったか? って、元気だったら来ないよな。まぁ、前回よりは少しは良いみたいだけど」


 部屋へ行くと、いつも通り魔獣達が待っていた。だけど治療を開始する前に、ビックファイヤーモンキーとキックバード、それとメッセージバードの所へ行く事に。


 すると何故か他の魔獣から離れて、部屋の隅っこの方にいたビックファイヤーモンキー達。声をかけながら、みんなの体も状態を確認すれば。前回よりも少しは薄くなっていたが、それでもストレスと疲れで、真っ赤なのは変わらず。


 この前治療してあげてから、そんなに経っていないはずなのに、ここまで真っ赤になるかね、という程だった。


「悪いけどお前達の順番は最後だから、もう少し待っていてくれな。その辺におもちゃや、いろいろできる道具が置いてあるから、それで遊んで待ってくれていても良いし。もし何かやりたいことがあるなら、あそこにいる魔獣に伝えて。そのやりたい事ができるようなら、それをしながら待っていてくれ」


『ぐあぁぁぁ……』


『ギギィー……』


『ピピピ……』


 この前少しは心を許して貰えたかと思ったけど。やっぱりそう簡単に仲良くとはいかないよな。返事はしてくれたが、なんともいえない表情をした3匹。


 そんな中、いつもキックバードの頭にいるメッセージバードが。その時は何故か地面に降りていて。抱っこされずに地面を転がってきたププちゃんと、ちょうど見合う感じになったんだけど。


 次の瞬間、それまで何とも言えない表情をしていた、メッセージバードの目つきが鋭くなり。それに合わせるように、ププちゃんの目つきも鋭くなると。

 サッ!! っとお互いファイティングポーズをとり、本当に攻撃はしないものの、蹴りをパンチをし始めた。華麗なステップをしながら。


 そしてそんな2匹を見た他のみんなも、今までの大人しかった姿はどこへやら。全員がファイティングポーズをとった後すぐに、ププちゃん達みたいに攻撃ポーズをとって。


 俺と修也みたいに、互い合わない相手って感じだったんだろう。修也の魔獣達が何を言っていたのか後から聞いたら、この前の続きをするか? やるかこのやろうー! すぐに倒しちゃうぞ! と言っていたらしくて。


 それに対して、やってみろ!! すぐにやっつけちゃうぞ!! 僕達強いんだから! ブーブーと。って、ラビ達も対抗していた。ブーちゃんなんていびきで挑発してたよ。


『グワァ?』


『キキキィ?』


『チュキィー!!』


 そして何故ラビ達がこんなことを始めたか、理由を知らないのに。面白い事が始まったのかと盛り上がる、俺に治療を受けに来た魔獣達。


 まったくラビ達は何をしてるんだ。いや、ププちゃんとメッセージバードの目が合ったのがいけなかったな。みんなここには治療しにきてるんだから。騒がしくしちゃダメだろう。


 それに魔獣達の方も。疲れているから、ストレスを感じているから、俺の治療に来ているんだろう? その証拠にみんな真っ赤な反応が出ているんだから。

 それなのに、何一緒に盛り上がって、しかも応援とか始めてるんだよ。これも後から聞いたけど、一緒になって煽ったり、ラビ達の事を応援したりしていたらしい。


「はいはいはいはい」


 パンパンパンッ!! と晴翔が手を叩き、修也達の魔獣とラビ達の間にはいる。それに続いて、俺はさっさっとラビ達をまとめて抱っこして。ブーちゃんは晴翔に抱っこしてもらって。他の職員も、苦笑いをしながら来てくれて。集まってきていた魔獣達を解散させてくれた。


「ほらほら、これから治療なんだから。みんな散った散った!」


「さっきまでグッタリ、眠そうにしていたのは何だったんだよ。こういう時は元気になるんだから。こんな事に体力使うなよ」


 みんなブツブツ何かを言いながら解散していく。きっと文句を言っているんだろう。何だよ、これで終わりかよってな。終わりかよじゃないよ、これから俺の治療が始まるんだから。


「おい、お前達も自由にしてて良いから、みんなの治療中は静かにしていてくれ。なるべく早く、みんなも元気にしてやるから」


 俺はクーちゃんに、そうビックファイヤーモンキー達に伝えてくれと頼んだ。そうしてクーちゃんがすぐにそれを伝えてくれると、ビックファイヤーモンキーと達は、こっちをブスッと見ながらも隅っこに戻り、静かにその場に座った。よし、そのまま静かにしていてくれよ。


 そうして始めの魔獣の、治療を始めながら周りを見てみれば。最初部屋に入ってきた時みたいに、みんなが疲れていますって感じで、とてもグッタリしていて。お前達、本当に同じ魔獣か? ってツッコミを入れそうのなるくらいだ。


「えらい盛り上がってたな」


「本当に治療が必要なのかってほどにな」


「でもみんな真っ赤なんだろう?」


「ああ、1番酷いのは、奴の魔獣達だけどな」


「はははっ、それであの騒ぎかよ。まったく人も魔獣もその辺は同じだな。いくら疲れていても、楽しいことがあると疲れている事を忘れるっていう」


「忘れ過ぎだろう」


「まぁな。で、話しはできそうな感じか?」


「今みたいに、お互いがガンを飛ばさなければな」


「クククッ、まさかの1番小さいププちゃんが、最初に行ったもんな」


「と、冗談はさておき。とりあえずは聞いてみるさ。俺の話しを覚えてくれていて、ここへ来たなら、もしかしたら裕子さんじゃないけど、本当に何か助けを求めているかもしれないだろう? 出来る限り聞いてみるよ」


「その時は俺がププちゃん達を見てるよ。邪魔しないように」


「頼むな」


 さて、しっかり話しができれば良いけど。




     *・゜゚・*:.。..。.:*・'.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*

【あとがき】

お読みいただきありがとうございます。


切実に、切実に、★評価していただけると助かります。

泣いて踊って喜びます。


是非下にある★★★評価とレビュー、フォローをよろしくお願いいたします。


ブーちゃん『にょお、にゅにょおぉぉぉ!!(★お願いな!!)』


ラビ『きゅいぃぃぃ!! きゅいっ!(タクパパのクッキー返せー!! とおぅっ!)』


ププちゃん『ぷぷ ぷっぷ~! ぷぷぷ~!!(タクパパのくっちーのために、★をおねがいちます! ラビおにいちゃんのとびげりこうげき!!)』


クーちゃん『★よろしくおねがいします!! もぎゅもぎゅ。くっきー、ほかにおちてないかな? おちたの、ぼくがきれいにたべるからね!!』


ププちゃん『ぷぷぷぷぷ!! ぷぷぷぷぷ!!(クーおにいちゃん!食べちゃダメだよ。ふくろにもどしゅの!!』


ラビ『きゅい! きゅいっ!!(だから、戻すのも間違いだよ!!)』


ププちゃん『ぷ? ぷぷぷ!! ぷぷぷぷ~!!(ん? みなしゃん! ★でタクパパのくっちーをまもってくだしゃい!!)』

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