第62話 視聴者さん参加型配信前にちょっとやってみよう配信3
「は?」
戻ってきたブーちゃんに対しての、俺の最初の反応だ。そしてコメント欄にも。
“え?”
“は?”
“ん? ん?”
と、俺と同じような反応で溢れて。
いやいやいや、こんな反応にもなるだろう。急に転がり始めたと思ったら、探してる薬草を身体中につけて、緑の体で戻ってきたっんだから。
本当に探している薬草ばかりなんだ。時々違う葉っぱもついているけど、それは毛に絡まってはおらず、探していた薬草だけが、しっかり毛に絡まっていてるんだよ。
「タク、確認するぞ!」
「あ、ああ!!」
ジッとブーちゃんを見てしまっていた俺は、晴翔の声にハッとする。晴翔がカメラを固定して俺達の所へきた。
「皆さんすみなせん。先にブーちゃんの薬草を確かめます!」
“えええ!?”
“どうなってるんだ!?
“だって転がっただけだよね!?”
と、視聴者さんも困惑だよ。いや、そうなるよな。視聴者さんに断りを入れ、ブーちゃんの体に絡まっていつ薬草に触れる。と、毛に絡まっているおはずなのに、手が軽く触れただけで、スッと簡単に薬草が外れて。
これならと体を撫でると、撫でたところの薬草がスススススとすぐに外れたため。そこからは俺が薬草を外し、その外れた薬草を晴翔が風魔法で浮かせて、ササッと数を数えることに。そうして全ての薬草を数えて終えると、その数なんと100本超えだった。
“えええ!?”
“マジかよ!!”
“ブーちゃん、何したの!?”
「俺もこれは初めて見ました。確かに最近転がる練習はしていたんですが。ブーちゃん、今の転がりは何だ? あれはただの転がりじゃないだろう。何か魔法を使ったのか? それと転がり以外の動きをしたのか?」
俺達も驚いたが、視聴者さん達だって同じだ。みんなブーちゃんが何をしたか知りたいだろう。だって転がっただけで、必要な薬草だけ毛に絡ませて戻って来たんだぞ?
「ブーちゃん、何をしたんだ?」
答えないブーちゃんにもう1度聞く。すると次の瞬間、ニヤッと笑ったかと思うと、その場に寝転がり。
『にょうお~、なゃ~、にょうなゃあぁぁぁー』
と鳴いて、少しだけ転がるとそのまま止まった。今のは、ん~、何かあったかなぁ~、時々転がるかなぁ、と言ったんだ。あ、これはブーちゃん確信犯だ。そして教える気もないなやつだ。ブーちゃんが何を言ったのか、視聴者さんに伝える。そして。
「皆さん。ブーちゃんのこの表情を見てください。何をしたかは教える気はないようです。それと、今のを俺に教えていなかったのは、俺を驚かせて。そして俺だけじゃなくて、全員も驚かせて、その驚いている姿を見て楽しむつもりだったようです。そして素手は今も継続中で。また同じことをして、ゲームを盛り上げるつもりみたいです。そうだろブーちゃん?」
『ににょおぉぉぉ!!』
元気の良い返事をしたブーちゃん。そうしてまたブーブーいびきをかき始めた。
“マジか!?”
“それは聞いてない!!”
“なんて技使ってるんだよ”
“今のニヤ顔見たか!”
“完全に確信犯じゃん!!”
“うわー、やられた!!”
“これじゃあ、予想するのがさらに大変になったぞ!!”
“さっきまでがMAXの難しさじゃなくて、もっと上があったなんて!!”
“頼むよブーちゃん!!”
コメント欄の視聴者さんの悲鳴が止まらない。でもこんなことになるなんて、俺も予想してなかったからな。まさかブーちゃんがここまでやる気をみせるなんて。みんなの驚く顔を見て、楽しもうと思ってたんだな。
はぁ、これじゃ本当にゲームが難しくなったから、何か救済処置を考えないといけないかもしれない。
そうしてさらに難しくなったゲームを。みんなの悲鳴が消えることはなかったが、それからも続け。その後ブーちゃんは2回ほど動き、1回目のゲームは終わった。
そしてその結果は……。予想がバラけ視聴者さんの負けに。そしてまたコメント欄には悲鳴が。
「あー、とりあえずもう1度やってみましょう。すみません、俺達も予想外のことで」
“まさかの保護者が知らない新技”
“しかもかなりの新技だよ”
“あ゛あ゛あ゛ー。プレゼントが遠ざかって行く”
“みんな、それでもやるしかないんだ!!”
“次だつぎつぎ!!”
とりあえずそのままもう1回、ゲームをする事にした俺達。そうして今度やらかしたのはクーちゃんだった。まぁ、これに関しては、想定内に入ってたんだけど。
いつも一生懸命に素材を探してくれるラビ達。でもみんな遊びたいのに頑張ってくれてるからさ。集中力がずっと続くわけもなく。途中で遊びだしたり、何かに気を取られてそっちに行っちゃったり。
で、今回はクーちゃんが動いた。ダンジョンにしか居ない、モルモット位の大きさのバッタが居るんだけど。そのバッタを見つけたクーちゃん。
猫みたいに低姿勢になって、バッタに狙いを定めて。これまた猫みたいに、飛びかかったんだけど。まぁ、目測を謝ったよ。というか本当に狙いを定めたのかってほどで。
飛びかかった場所はバッタのえらい手前。バッタとクーちゃんの間は、クーちゃんが3匹は入る位の距離だった。そうしてバッタはクーちゃんの周りを、なんだこいつばりに飛んだ後、どこかへ行ってしまった。これには悲鳴ばかりだった視聴者さんも大爆笑だ。
“ちょっwww ”
“全然違うwww ”
“www ”
“べしゃって、べしゃってwww ”
“あれだけ真剣に見てたのにwww ”
“お腹が、お腹が……www ”
そして飛びかかった本人はといえば、あ~れ~? と。何で捕まえられなかったのか、周りをキョロキョロしていて。いや、どう考えても、クーちゃんが目測を謝っただけだからな? しかもちゃんと飛べてなかったし。
そうしてクーちゃんが、バッタ捕獲に失敗したところで2回目は終了。今回の結果は2回とも視聴者さんの負けだった。
「皆さんいかがでしたでしょうか?」
“いやぁ、これは”
“難しすぎる”
“もっといけるかと思ってたよ”
“プレゼントが、プレゼントが”
“ブーちゃんのお尻が!?”
誰だ? ブーちゃんのお尻にこだわってるのは? ちょいちょいブーちゃんのお尻の視聴者さんが出てくるな。と、それは今は置いておいて、う~ん、これはなぁ。
「すみません。確かにこれは難しいすぎますよねぇ。ただ、ブーちゃんもやる気になっているので。ちょっとこの後、もう少し予想をしやすいように考えようと思います。ただ、難易度をどこまで下げられるかは」
“く~、さすがのブーちゃん”
“まさかここまで難しくしてくるとは”
“これはブーちゃんの俺達に対する挑戦状か!!”
“絶対にブーちゃんには負けないぞ!!”
“他の子達も何するか分からないし”
“またべしゃってするかもしれないしなw”
“みんな頑張ろうな!!”
“みんなで力を合わせて、プレゼントを勝ち取るんだ!!”
“拓哉さんも、無理して考えなくて良いからね”
“そそ。考えてくれるのはとっても嬉しいし、簡単になるならそれが良いけど”
“ブーちゃんを倒したい”
“それな”
“やっぱりここは真っ向勝負もありって考えておくよ”
何故か視聴者さんが燃えていた。まぁ、みんながそれで良いなら良いけど。でもブーちゃんはやるぞ? 全力でみんなの邪魔をしにくるぞ。なにせ寝ているのに顔がニヤついたままだからな。
こうして、ちょっとやってみよう配信は、ブーちゃんの予想外の新技が炸裂する配信となったのだった。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
【あとがき】
お読みいただきありがとうございます。
切実に、切実に、★評価していただけると助かります。
泣いて踊って喜びます。
是非下にある★★★評価とレビュー、フォローをよろしくお願いいたします。
ブーちゃん『にょお、にゅにょおぉぉぉ!!(★お願いな!!)』
ラビ『きゅう! きゅいぃぃぃ!?(だから、タクパパのクッキー食べちゃダメだよ!!)』
ププちゃん『ぷぷ ぷっぷ~!(タクパパのくっちーのために、★をおねがいちます!)』
クーちゃん『よろしくおねがいします!! あっ!! もう2ふくろめがなくなるよ!?』
ププちゃん『ぷぷぷ!! ぷぷぷぷぷ!! ぷぷぷぷぷ~!!(くっちーが!? かくしゃないと!! みなしゃん、★でタクパパのくっちーをまもってくだしゃい!!)』
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