第42話 ドライトの問題、怒られチビ助達

「あなた達は、一体何をしているの!!」


 配信が何とか無事? に終了した後、俺と晴翔が機材の片付けや、今回の配信で使った道具を片付けていると、家の中から母さんの怒る声が聞こえてきた。


 そしてチラッと中を覗けば、しょんぼりと下を向いて座っているラビ達と、そんなラビ達の前に、仁王立ちで立っている母さんの姿が。

 やっぱりこうなったか。だから後でゆっくり、ドライトを食べさせてやろうと思ったのに。


 実はドライト、とても素晴らしい果物なんだかが、ちょっと面倒な部分が。実はとてもベトベトしている果物なんだ。

 手に付いたら3回は洗わないとベトベト感がなくならないし、洋服にでも付いたものならもう大変で。特別な洗濯洗剤がないと取れないくらいだ。


 と、いうことは、口の周りと体にドライトをつけた、ラビとブーちゃんとクーちゃんは? ププちゃんはなんだかんだとやはりスライム。ちょっといつもよりは時間がかかるが、しっかりとベトベトを溶かしてしまうが。ラビ達はどうにもならない。


 まぁププちゃんも、俺の言うことを聞かずにドライトを食べたし。今言った通りいつもよりは時間がかかるのに、ベトベトを全部を溶かしきる前に家の入ったもんだから、結局は家の中でもやらかしたわけだが。


 そのままの姿で家の中に入ったみんな。床を汚し、クッションを汚し、家具を触ろうとして、母さんの雷が落ちたんだよ。


「ドライトを食べる時や、ジュースを飲む時は。ちゃんと私か拓哉が用意してあげるから、それからゆっくり食べましょうねって言っているでしょう! それなのに身体中ベトベトにしちゃって! それに見てみなさい! 床はベトベト、クッションにまで付いてしまって!! これじゃあ掃除が大変じゃない!! 誰が掃除をすると思っているの!! クッションはクリーニングに出さないといけないのよ!!」


『きゅいぃぃぃ……』


『ぷぷ~……』


『ぬにょ……』


『タクママ、こわい……』


 いつもは俺の言うことなんて、寝ながら聞いているブーちゃんですら、しっかり座って怒られている。それでも体がフラフラしているのが何とも。


『ママはいつも言っているでしょう! どうしてやっていけない事をするの!』


「今日は随分長いこと怒ってるな?」


 小さな声で晴翔が聞いてきた。


「たぶん、この前母さんが買ってきたばかりの、家具を触ろうとしたんじゃないかな? それにさっき見たら、母さんのクッションが1番被害を受けてたんだよ」


「あ~、それでか。この前俺にもわざわざ家具を見せてきたもんな。それにおばさんのクッションは確か特注だったよな」


「ああ。あれ、クリーニングに出したら、けっこうかかるんじゃないかな。はぁ、ラビ達がやった事だから、俺が出すけどさ。汚される事自体があり得ない、って感じだと思う」


「ドライトは、クリーンじゃ綺麗にならないってのもなぁ」


「本当だよ。クリーンで綺麗になれば良いのに、わざわざ専用の物を使わないといけないなんて」


 ドライトのベトベトを取るには、さっき特別な洗濯洗剤がないと取れないって言ったけど。それはなにも洗濯だけじゃない。手を洗うのだって、家具についたベトベトを取るのにだって、ダンジョン産の物を使った石鹸が必要なんだ。


 何故かクリーンが効かないんだよ。そのせいで母さんでも綺麗にできない。だからほとんどの家庭に専用の石鹸や洗剤が置いてある。


「まったく、少し我慢してくれれば良かったのに」


「撮影前は前で、何かあれば配信が遅れるしな。遅れるだけで済めば良いけど、今みたいなことになったらなぁ」


「だからわざわざ、後でゆっくり楽しめるように、今回は大きめのドライトを買ってやったのに。この調子だと1週間は禁止になるな」


「がっかりするだろうな。あれだけ楽しみにしてたのに」


「最初はな。でもまぁ、すぐに忘れるだろう。で、禁止明け後またギャアギャア言いながら楽しむさ。ラビ達は切り替えが早いから」


「拓哉!! 晴翔君!!」


「え? か、母さん何!?」


「は、はい!?」


 様子を伺いながら話していたら、急に母さんに呼ばれてドキッとした。急いで庭から家に入る。


「片付けはどう? もうすぐ終わりそう?」


「いや、まだ半分くらいだけど」


「悪いんだけど、ドライト関係は私が片付けておくから、先にこの子達をお風呂に入れてくれる? これ以上家の中を汚されたら、たまったものじゃないわ。晴翔君もお願いできるかしら。もし時間がないのなら、帰る時間までで良いから、手伝ってもらえる?」


「俺は今日は予定はないので。先に家に電話します」


「じゃあ私にも変わってくれる?」


「はい」


「それじゃあまず俺は、使い捨てのタオルを、脱衣所に置いてくるから待っててくれ」


「俺はその間に電話するよ」


 母さんと晴翔が電話をしている間に、俺は急いで使い捨てタオルを持って風呂場へ。こういう時に助かる使い捨て。今度補充をしておかないと。

 後は石鹸とブラシと、後は洗った後に暖まれるように、ラビ達が溺れないくらいに湯を張って。


 それが終わったら、今度はお風呂から出た時の準備をしてと。入る前、入浴中、出た時と、全てが大騒ぎだよ。と、お風呂の準備をしていると母さんが来て。


「拓哉、今日は晴翔君、ウチに泊まることになったから、どうせ今からきっと、あなた達にもドライトが付いてしまうでしょうから、一緒にお風呂に入っちゃいなさい」


 いつでも泊まれるように、俺の家に入る晴翔の洋服が置いてあるから問題ないし。ブーちゃんが家族になった時、お風呂をリフォームして大きくしたから、全員で入っても問題はない。

 晴翔と、幼馴染と風呂に入るのも、銭湯にはちょくちょく一緒に行っているから、これといって問題はない。


「分かった!」


 はぁ、配信は終わったけど、俺達のドタバタはまだまだ終わらないようだ。




     *・゜゚・*:.。..。.:*・'.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*


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