第19話 勇者とは


スライムとの戦闘の翌日。


朝食を済ませると、いつものように素振りを始めた。


昨日までとは違う。

なんというか、振った時の音が違う気がする。


素振りだけして、ステータスが向上したときは全くと言っていいほど変化がわからなかったが、、、


なるほど。これがレベルアップか。


これで魔法かスキルでも覚えていたら良かったのにな。


むしろ【勇者】なんだから魔法やスキルのひとつくらい持っててくれよと思う。

【勇者】って晩成型なのかな?


そもそも【勇者】ってなんなんだろ?


【剣士】や【魔法使い】なんかは読んで字のごとくって感じだけど、

【勇者】勇ましい者?それだけ?

もしそうだとしたら、いついかなる時も勇ましく、勇敢にって見方によっては【馬鹿】にも見えてしまう職業だな。


だってさ、『いや、それ無謀でしょ』ってとこでも『大丈夫!!オレに任せとけ!!』みたいなマインドでしょ?

僕には馬鹿にしかみえない。。。


まぁでも違うんだろうな。

だって僕勇ましくなんかないし、むしろ臆病だもん。

それに僕は【臆病】を悪いことだとは思わない。

むしろ臆病さとは、思慮深さと言えると思っている。

行動のその先を予想、予測できるからこそ慎重になるのであって、

【臆病】とは、人を揶揄するための言葉でしかないのではないかと僕は思っている。


じゃあ誰かに【勇気】を与えられる存在が【勇者】?

それも僕は納得できない。

だって、勇気は人から与えられるものなんかじゃない。

いつだって自分の中から絞り出すものだから。

もし誰かに勇気を与えられたと思ってる人がいたとしたら、それはキッカケにはなっていたかもしれないけど、実際は誰もが自分の中から絞り出してる。絶対に。


本当に【勇者】ってなんなんだろ?

ぜんぜん答えがみえないし、僕は何を目指していけば良いのだろう。


『ふぅ。』


よし。今日の素振り完了。

しっかり昼食を摂って休もう。

午後からまた村の外に行くことになるだろうから。

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