第17話 初めての戦闘


村の周囲にはモンスターが寄り付つくことがないように、定期的に聖水がまかれているという話だ。


というのも、実際にまかれている場面を見たことはない。

これは僕だけではなく、見たという人に会ったことがないから村の皆も見ていないと思う。


夜中にまいているのか、、、

それとも、僕らじゃわからない方法でまいているのか、、、

村にモンスターが現れていないから、今のところ問題はないし、誰もが気にもしていない。


『この辺りじゃモンスターはいないな。村からもう少し離れてみよう』


『うん』


10分ほど歩いたところで、


『おい、あれ』


そう言われた先をみてみると、少し離れた先にモンスターがいるのを確認した。


スライムだ。


『相手は2匹だ。ちょうどいい。カリス、いくぞ!!』


『う、うん!!』


木刀を構え、気付かれないよゆっくりと近づく。


しかし!!


2匹のうちの1匹がこちらに気づいてしまった。


『くそ!!スライムに気付かれたぞ!!オレがヤツを倒すからカリスはもう1匹を頼む!!』


『わ、わかった!!』


そう言ってタルボはスライムに斬りかかった。

僕はというと、もう1匹がタルボの邪魔にならないよう、走ってもう1匹のスライムに斬りかかっていく。


ガンッ!!


ミス!!僕の攻撃は避けられてしまった。


マズイ。

そう思った瞬間、スライムはこちらに体当たりしてきた。

ドンッ!!


『うぅぅぅ。』


スライムは僕の腹部に命中した。

あまりの衝撃に僕は倒れ込んでしまった。


すぐに体制を整えなきゃ。

そう思い、身体を起こしながらスライムを見ると、

ヤツはすでに体制を整えていた。


ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!


急いで立ち上がったが、スライムはもう攻撃体制に入っていた。

すごい勢いで体当たりしてきた!!


身を守り、木刀を両手で持ち防御の姿勢をとった。


ドンッ!!


『くっ!!』


防御の上からでも結構な衝撃だった。


次はこっちの番だ。

両手に持ったままの木刀を振り下ろした。


ダンッ!!


体制がまだ整っていないスライムに、難なく命中させることができた。


会心の一撃とまでは言わないが、手応えはあった。


頼む。

これで終わってくれ。。。


だが、、、そんな希望も虚しく、

スライムはまだ生きていた。


やるしかない。

どっちかが倒れるまで。


『来い!!』


お互い睨み合い、相手の出方を伺っている。

来ないならこっちからいってやる。


『くらえ!!!!』


今度はスライムが避けにくいよう、横から一文字斬りで襲いかかった。


ザンッ!!


しっかりとは当たらなかったが、スライムはよろけているようだ。


このチャンスは逃さない。

次は斜めに、袈裟斬りを振り下ろした。


ダンッ!!


しっかりと命中した。 


はぁはぁはぁ。すごく疲れた。

もうこれで、、、

スライムを見ると、


キラキラキラキラ。

そう音を立ててスライムは消えていく。


そして、、、

消えた場所を見てみると、そこには小さな小さな宝石が落ちていた。


『初勝利おめでとう』


『タルボ!!』


『なかなか手こずってたな』


『本当に。スライムでこんな強いなら、他のモンスターはどうなることか不安だよ。』


『だな。この辺りにはビッグクロウも出るはずだが、当面の間はスライムを狙っていこう』


『まだやるの!?』


『当たり前だろ?レベルだって上がってないんだし』


『うっ、、、』


そう言われ、もう辞めたいとは言えなかった。


『とりあえず今のHPを確認してくれるか?』


『HP?わかった。』


ステータス


名前 カリス

レベル 1

HP 12

МP 8

性別 男性

種族 人間

職業 【勇者】

スキル なし

魔法 なし

攻撃力 9

防御力 6

力   8

身の守り4

体力  14

素早さ 6

賢さ  10

運の良さ4


装備

木刀 攻撃力+1

布の服 防御力+2


『HPは12まで下がってるね』


『んー、そうか。じゃあ今日は帰るか。』


『本当に!?』


『あぁ、さすがに安全は保ちたいからな。カリスはHPが半分くらいになっちゃってるだろ?』


『そ、そうだね。』


『よし、帰ろうぜ』


そして村に向かおうとしたその時。

目の前にスライムが現れた!!

しかも、3匹!!


『マジかよ』


『ど、どうするの?』


『どうするって、やるしかねーだろ!!!!』


そう言われすぐに木刀を構えると、タルボが動き出す。


『くらいやがれ!!【強撃】!!!!』


スライム1匹に命中し、


キラキラキラキラ*


スライムが消えていった。

一撃で倒すなんて、さすがと言うしかない。

タルボはそのまま2匹目に向かっていく。


『なにボサッとしてんだよカリス!!』


『ご、ごめんっ』


本当に見とれてる場合じゃなかった。

僕に狙いを定めているスライムが1匹。

目が合った瞬間に体当たりしてきた。


そこに合わせて、木刀を一文字斬りで振る。


ズババババッ!!


キラキラキラキラ*


カウンターで当たったその一撃は、会心の一撃となったようだ。

一撃でスライムを倒すことができた。


あと1匹。


その1匹もまさに今タルボがトドメを刺す所だった。


ズバッ!!


キラキラキラキラ*


『ふう』


『タルボの【強撃】すごいね!!』


『ん?そうか?』


『そうだよ!!一撃だったじゃん』


『そういうお前だって一撃だったんじゃねーの?』


『見てたの!?あれはまぁ、マグレというか、たまたまというか』


『なんだそれ?そんなことあんのか?まぁ、いいや。とりあえず帰ろうぜ。さすがに疲れた』


『うん、そうだね。帰ろう』


そう言って足早に、モンスターと出会わないことを祈りながら村に帰っていった。

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