第15話 タルボとの稽古
神託を受けてから3ヶ月以上が経った。
木刀の素振りも毎日休まずに続けてきた。
どうやったら身体がもっていかれずに速く振れるのかを考えながら。
今では身体をもっていかれることはなく、
以前よりも速く振れるようになったと思う。
そんなある日、今日も素振りをしていると、、、
『よう!!カリス、今日もやってんなー』
『タルボ!!』
『どうだ?少しはコツが掴めてきたか?』
『どうかなぁ。最初と比べたら振れるようにはなってきたけど、、、強くなってる気はしないね。ステータスも変わらないし』
『ははは。わかるわかる。ステータスはずっと続けていくと【ちから】【すばやさ】なんかは少しずつ、本当に本当に少しずつ上がるよ』
『タルボはどれくらい上がったの?』
『そうだなぁ。【ちから】が2、【すばやさ】が1っとこだな。最後にステータス見たのはいつだ?』
『えっと、2週間くらい前かな?』
『だったら見てみろよ?もしかしたら上がってるかもしれないぞ?オレなんか毎日ステータスを確認してたしな』
そう言われステータスを開いてみる。
ステータス
名前 カリス
レベル 1
HP 27
МP 8
性別 男性
種族 人間
職業 【勇者】
スキル なし
魔法 なし
攻撃力 8
防御力 6
力 7
身の守り4
体力 14
素早さ 5
賢さ 10
運の良さ4
装備
木刀 攻撃力+1
布の服 防御力+2
あ、素早さだけ上がってる?のかな、、、?
『どうだった?』
『たぶん、、、素早さが1上がってると思う』
『おー!!良かったな。ちゃんと稽古してる成果が出てるじゃないか』
『本当だね。でもステータスって、タルボみたいに毎日見ていないと、増えたかどうかわからなくなるね。正直素早さもたぶん上がってるのかな?くらいに思うもん』
『そうだな。記録に残しておけば別だろうけど、それよりも毎日確認していた方がモチベーションにも繋がるぞ』
『わかった。これからは毎日確認だけはするよ。それで、今日はどうしたの?そんな話をするために来たわけじゃないでしょ?』
『そうそう、カリスはあれからどうしてっかなー?って気になっていたのと、オレ自身1人で素振りばっかしてんのに飽きてきちゃってさ、そろそろ自分の力を試してみたいんだよ』
『力を試す、、、?』
『そう。カリス、オレと打ち合ってみないか?』
『え!?ケガしたらどうするの?』
『そんなもん寝たら治るだろ?』
『え!?ケガがそんな簡単に治るわけないじゃん!!』
『なんだお前知らねーのかよ?戦闘職になった奴は神殿からの加護を受けてるから、基本的には寝たら全部治るぞ?手とか脚、指なんかを欠損した場合は戻らないみたいだけどな』
『いや、僕は加護なんて受けてないよ?』
『カリス、自分の手のひらを見てみろよ?』
『ん?なんもないけど、、、?』
『だろ?普通はさ、これだけ素振りしてたらマメのひとつやふたつできるだろ?でも次の日には治ってて、また素振りができてる。』
『そう言われてみれば、、、マメができても次の日に痛かったことはないかも』
『そういうのも全部、加護のおかげってわけさ』
『そうだったんだ。でも、いつの間に?』
『神殿でさ、変な奴と話す時間あったろ?その時に加護をつけるらしいぞ。オレも加護をつけられたのを感じたわけではないし、ハッキリとした事はわからないけどな。』
『そっかぁ』
『だからカリス、おもいっきり打ち合おうぜ!!』
『うっ、治るとしても痛いのには変わりないじゃん』
『そんなこと言ってたら強くなれないぞ!!さぁ、早く構えろ!!さっそくやるぞ!!』
『強引だなぁ、、、』
『なんだそのへんてこな構えは?それ構えてんだよな?』
『うるさいなぁ。構えなんてわからないもん。これでもそれっぽくやってるつもりだよ』
『そうか。それが構えってならそれでいい。いくぞ!!!!』
『!!!!!!?????』
そう言ってタルボは木刀を上段から振り降ろした。
慌てて木刀でガードしようとしたが、、、
僕の木刀ごと押し切られて、タルボの木刀が僕の頭にゴツンと当たった。
『い、痛っ!!』
『ははは。集中しろよ集中。じゃあ次いくぞー』
『ちょっ、まっ、、、』
待ってほしいと言い切る前にタルボの攻撃が打ち込まれる。
今度はなんとか木刀で防御することができたが、次々と打ち込まれていく。
防御で精一杯で、反撃は全くできない。
タルボもレベル1だよね?
なんでこんなにも違うんだろ?
【剣士】だから?
そんなことを考えてると、、、
ドンッ!!
『うううぅ。』
とうとう腹部に当たってしまった。
『防御してるだけじゃなくカリスも打ち込んできてくれよ。いじめてるみたいじゃないか』
『そ、そんなこと言われたって、防御で精一杯なんだよ』
『スキルを試したかったが、、、今日はまだ無理そうだな』
『スキル!?いや、無理無理!!』
『だよなぁ。オレもさすがに躊躇うわ』
よ、よかった。。。
『じゃあ今日はトコトンいくぞー』
『え!?まだやるの!?』
『もちろんだ!!いくぞ!!』
『うわっ!!』
こうしてタルボとの稽古は陽が暮れるまで続いた。
そしてタルボとの稽古が午後の日課になった。。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます