第13話 カンブリア帝国とテゴス村
僕が住んでいるテゴス村からカンブリア帝国までは、歩いて30分程の距離だ。
テゴス村はカンブリア帝国の領土内にある小さな村。
カンブリア帝国の領土内には、五つの村があり、その中のひとつの村だ。
じゃあなぜカンブリア帝国国民の僕を含めた村民がこの町をカンブリア帝国と呼ぶのか、
カンブリア帝国を含め、城がある町は町自体に名前はついていない。
そのため領土内の村に住む国民は皆、この町をカンブリア帝国と呼ぶ。
このカンブリア帝国への移動は、生活用品の購入以外にも、この町に働きに出ている者たちにとって必要不可欠となっている。
そのため馬車は国営で、国内の移動であれば国民は無料となっている。
テゴス村やその他の村から、カンブリア帝国に働きに出ている者の賃金の10%が税金で徴収されるようになっており、その他にもこの町に売りに来る商人たちの関税など、税金で賄われている。
馬車を使う理由は他にもある。
魔物を寄せ付けない聖水は、村の道具屋でも購入できるが、20Gもするため高価だ。
移動の際に個人で購入して使用するのは割に合わない。
また、聖水は【作成者のレベル未満の魔物を寄せ付けないが、作成者のレベル以上には効果がない】という条件付きだ。
簡単に言うと、強い魔物には効果がないってこと。
魔物というのは地域性がある。
その地域の魔物に対する必要なレベルが明確だ。
だが、ここから強い魔物に変わるという境界線はないため、購入した聖水が通用しない場所にいつの間にか入っていたなんてこともありえる。
それらの理由から、よほどのことがない限り一般人が購入することはない。
もちろん僕も購入したことも、使用したこともない。
魔王討伐に出ることが決まっている僕は、いつか使用する機会があるかもしれないし、この馬車に乗ることも無くなるのかもしれない、、、が、、、
それはまだ少し先の話だろう。
そんな事を考えながら馬車の窓から見える景色をぼんやりとみつめていた。
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