第5話 カンブリア帝国


『やっと着いたわね。』


『本当に。私達の村からは本当に本当に長い道のりだったね。もう当分馬車には乗りたくない』


『ははは。本当よね。馬車に座りすぎてお尻が痛い。』


『神殿はカンブリア帝国宮殿の手前だって言ってたわね。あの宮殿目指していけばきっと行けるわ』


『そうね。じゃあ行きましょうか?』


あの大きなお城がカンブリア帝国宮殿か?

彼女達の話では、あのお城を目指して歩いていけば神殿に辿り着くとのことだ。

ここでこの情報を手に入れたのは大きい。

なにしろどこに向かえばいいのか、全く何もわからなかったからなぁ。


『カリスくん?』


『ん?なぁに?』


『話聞いてた?行きましょうか?って聞いたのに返事をくれなかったから。。。』


『え?あれ僕に言ってたの??2人で話してるのとばっかり思ってたよ。』


『もちろんビニアに向けてもだけど、カリスくん、あなたにも言ってるのよ?どうせ同じ目的地ですもの。一緒に行きましょうよ?』


『ありがとう。ではお言葉に甘えて同行させてもらおうかな』


『そうと決まれば、いざしゅっぱーーーつ!!』


そしてカンブリア帝国宮殿に向けて歩き出した。

カンブリア帝国は首都というだけあり、様々なお店が建ち並び、僕が住んでる村とは全く違う、とても栄えた町だった。

町の景色全てが新鮮で、神殿なんかに行かず町を観光したい気分だ。

中でも良い匂いがする屋台には、僕の目だけではなく、お腹も引き寄せられているようだ。

神託が終わったら何か食べよう。

そう考え期待に胸を膨らませた。

馬車に乗る前の鬱屈な気分とは異なる今の心持ちに、自分でも不思議な気分だ。

きっとジュラとビニアの2人が出す雰囲気のお陰だろうと思う。


そんな事を考えながら歩いていると、

宮殿の近づいてきた。宮殿の手前には他の建物とは明らかに違う、真っ白な建物が見えてきた。

きっとあれが神殿だ。

声には出さないが3人共が共通して思ったことだろう。

それくらいに美しく、見る物を魅了するような建物だった。

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