第4話 馬車での出会い
馬車には僕以外に3人が乗っていた。
全員見たことない顔だった。
1人は商人と思われるおじさん。
あとの2人はどちらも女の子。
どちらも同じくらいの歳に見える。
僕と同じように神託を受けるのだろうか。
そう思っていると、
『よう坊主。これから神託を受けるのか?』
おじさんが声をかけてきた。
『そうです。12歳になり、カンブリア帝国までの往復の旅費が確保できたので。』
『そうかそうか。てことはオレ達は皆同じ目的地ってことだな』
『おじさんもカンブリア帝国に行くのですね。』
『そうだ。この2人も今日神託を受けるらしいぜ?』
そう言われ、2人の女の子は僕を見る。
『あら、あなたも神託を受ける1人なら、時期も重なるし、もしかしたら私と同じ戦闘職の神託を受けて、同じパーティーになるかもしれないわね。どうぞよろしくね』
『ビニア、あなた自身が戦闘職になるかどうかもまだわからないのに、そんなふうに決めつけて話すべきではないわ』
『いいえ。私は絶対に戦闘職よ!!私にはわかるの。そしてジュラ、あなたも戦闘職よ!!私と幼馴染のあなたは、私と同じパーティーになる。これは決まってることなのよ。私の中で!!』
『私まで勝手に決めないでよw私は戦闘職なんかになりたくないわ』
『え?どうしてよ?私と同じパーティーで、一緒に冒険しようよ?』
『ビニアは運動神経も良いし、頭だって良い。だから戦闘職になってもやっていけると思う。でも私は違う。運動もできない、頭だって良くない。戦闘職なんて神託を受けたら真っ先に死んじゃうわよ』
『それは私が守るから大丈夫だってー』
『いやいや、仮に2人とも戦闘職になっても同じパーティーになれるかなんてわからないからね?』
『それはそーだけど、、、まぁなんとかなるっしょ!?』
『ははは』
こんなにも自分本位で、しかも戦闘職になることに期待さえしてる子もいるんだな。と少し気持ちが軽くなるのを感じた。
『えっと、、、何の職業になるかはわからないけど、同じ日に神託を受けに行き、同じ馬車に乗ってるのも何かの縁だと思う。とにかくよろしくね。』
『なんか、、、あなた大人ね。本当に12歳?』
『え?もちろん12歳だよ?』
『じゃあとびっきり変な子ね!!』
『え!?』
僕が出会った誰よりも変わった子に、とびっきり変な子だなんて言われるとは、、、
そこからはどこの村から来たとか、そんな他愛もない話をして時間は過ぎた。
そして、、、
『おーい、お客さん達。
あともう少しでカンブリア帝国に着くから、そろそろ降りる支度をしておいてくれよな』
と馬車の操縦手から声がかかる。
進む先を見れば塀に囲まれた門があり、その遠くには大きな城が見えた。
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