ゆーあーねーむ?
とりあえずよく分からない発言をする女神を連れて、家に帰ることにした。
道中、隣を歩く女神は周りをキョロキョロしていた。
そんなに物珍しい住宅街という訳では無いんだが。
時折、俺の右手を見て挙動不審になる。
うむ、少し可愛い。というか俺はこの子の名前を聞いていなかった。忘れていた。
「なぁ、名前ってなんて言うんだ?」
そう俺が問いかけると、女神は少し大きい胸を張って、ドヤ顔で答えた。
「私のことを少し興味持ってくれましたか!私の名前は、アイリス・フォードといいます!ぜひアイリスとお呼びください!なんなら、マイハニーと呼んでもいいですよ!」
アイリス?何故かその名前を聞くと俺の中で何か突っかかるものがあった。だが直ぐにその突っかかりがきえた。
まあ、俺の好きなラノベにもそんな妹系のキャラがいたから気になっただけだろう?
それはいいとしても、金髪で、目は青く、日本人離れした可愛さだったが、外人さんだったのか。一応、聞いてみるか。
「なぁ、日本人じゃないよな?」
「ちょ!?私のマイハニーの話は無視ですか!?ま、まあいいでしょう。そうですよ、私はイギリスから来ました。」
イギリス?そういえば昔、イギリスに行ったことがあった気がするが、幼稚園くらい話だったからあまり覚えてない。
「日本語が上手いが、日本に来てどれくらいなんだ?」
そう俺が問いかけると、ニコッと俺に笑いかけながら答える。くっ、この子やっぱり可愛い。
「さっき来ましたよ。」
さっき!?ど、どうゆうことだ。まさか俺に会いに来たとかそうゆうことなのか!?
「そ、それは俺に会いに来たとかそうゆうことか?」
「そうですよ!と、答えたいところですが半分くらい正解ですかね?別の理由もあってここに来ました。」
別の理由?というか半分は当たりなのか。しかしなんだろう?この初めてに思えないやり取りの感覚は。
とりあえず、半分の理由も気になるので、聞いてみることにする。
「なあ、半分って、なんの理由なんだ?」
そう俺が問いかけると、一瞬暗い顔をして、直ぐに笑顔に戻った。
そして、少し俺の横から前に歩き出し、ふっ、と振り返った。そして、少し腰を曲げ、左人差し指を口にあてた。
夕日がバックになって、白いワンピースが広がり、すごく綺麗に見える女神はこう答えた。
「内緒です♡」
内緒です♡って、可愛いじゃねぇか。と俺が、少し顔を赤らめていると、続けてこう言った。
「アリス。といえば、分かりますか?」
アリス?分かりますかってどうゆうことだろうか。何を思ってこんな質問をしてきたのか俺はその時は、わからなかった。
「アリスってなんのことなんだ?」
俺は、そう聞いた。すると、女神は、悲しそうな顔を見せ、顔を下に向けながら、こう言った。
「何も覚えていないんですね。」
覚えていない?どうゆう事だ。こんな短時間に考えさせることはあまりなかったからか、すぐに思考がまとまらない。
「覚えていないって、どうゆう事だ?」
すると女神は、いいんです、となにか覚悟を決めたのか、顔をまた上げて、ニコッと笑いながら俺に呼びかける。
「貴方が、思い出すまで私は待ちます。それに、これからたくさんの時を過ごすことが出来るので!」
この時の彼女の、覚悟を決めた顔は一生忘れることは無いだろう。
俺の人生の新たな始まりであり、ここが俺の人生の分岐点だったのだと、俺は後に振り返ることになる。
人生はたった一つの出会いで変わる @wassan_kuro
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