恐ろしい夜: 十字架

第2章：私は怪物ですか？

学校まで残り3分。たった3分が、普通の複雑な一日と完全な大惨事を分ける時間だった。リョウタは迷うことなく、命がかかっているかのように走り出した。心臓の鼓動が耳に響き、歩行者を避け、信号を無視して道路を横切った。

「すみません！すみません！道をあけて！」—彼は群衆を押しのけながら何度も叫んだ。

ようやく、カゲツノタニ高校の威厳あるシルエットが彼の前に現れた。その名声と評判で、14区で最も優れた学校とされていた。門の前で、朝の警備員、「ポステくん」として知られる人物が権威ある声で叫んだ。

「急げ！あと数秒で入れなくなるぞ！遅刻したら記録に残るぞ！」

リョウタは歩調を速め、遅刻している同級生たちの冷たい視線を感じながら走り続けた。何人かは軽蔑の目を向け、他の人たちは距離を置こうとした。彼はそれに慣れていた。「半吸血鬼」のレッテルは、彼に付きまとって離れなかった。

しかし、彼はある重要なことを見落としていた：靴紐が解けていたことだ。最悪のタイミングで彼は転んでしまい、周りの人々の前で地面に倒れた。周囲からは冷酷なオーケストラのように笑い声が上がった。それでもリョウタは立ち上がり、すぐに靴紐を結んで走り続けた。

「リョウタ・ガリャルド！」—警備員の声が、ちょうど入り口で彼を止めた—「また遅刻だな。お前は本当に問題だ。」

息を切らし、必死の思いでリョウタは頼み込んだ。

「お願いです、ポステくん！どうしても入れなくてはならないんです！」

警備員は厳しい目で彼を見た。

「だめだ！規則は規則だ。他の人たちに不公平になる。」—彼は冷たく言った—「それに、ポステくんって呼ばないでくれ！」

「でもみんな、そう呼んでますよ…」—リョウタは混乱しながら答えた。

「その通りだ！みんな、吸血鬼じゃない人間たちだ！」—警備員は軽蔑を込めて言い放った。

「吸血鬼」という言葉がリョウタの心を突き刺すように響いた。彼は目を伏せ、憤りを呑み込んだ。警備員は無表情で続けた。

「校長室に行け。待ってるから。」

リョウタが校長室に向かって歩いていると、警備員が小さくつぶやいたのが聞こえた。

「もう追放してくれればいいのに…」

一歩一歩進むたびに、彼は同級生たちの視線や低い笑い声、ささやき声を感じた。何人かは進行方向を変え、他の者は意図的に避け、勇気のある者は彼を敵意を持って見つめた。リョウタは心の中で何度も問い続けた。

「どうして？どうしてみんなそんな目で見てくるんだ？どうして僕を避けるんだ？僕は誰も傷つけたくないのに…僕は化け物じゃない…」

ついに校長室に到着すると、ノックする間もなくドアが開き、校長が厳しい表情で現れた。

「リョウタ・ガリャルド、入ってきなさい。待っていたわよ。」

校長室に入ると、校長は机の向こう側に座るように促した。彼女の視線は軽蔑に満ちていた。

「これは今学期の12回目の遅刻ね。どうするつもりなの？」

リョウタは必死に弁解しようとした。

「本当に申し訳ありません、校長。今日は道中で問題があって…」

「あなたの問題に興味はないわ」—彼女は冷たく遮った—「ここは真剣な学校で、あなたの行動が評判を汚しているの。実際、あなたがここにいるだけで十分にそれを傷つけているのよ。」

リョウタは拳を握りしめた。彼女の言葉は胸に突き刺さったが、反論できなかった。校長は続けた。

「この学校があなたを受け入れたのは、何らかの権力を持つ人が政府と契約を結んだおかげよ。その人が誰かは知らないけれど、そのおかげでここにいなければならないの。あなた、それが他の生徒にとって公正だと思う？」

リョウタの怒りが爆発した。

「公正だって？」—彼は顔を上げて言った—「17歳の男の子が、選ばなかったことで罵倒や脅迫、恐怖にさらされることが公正だと思うんですか？クラスメートや教師、職員からも拒絶され、ただ半吸血鬼だというだけで？それが公正だと思うんですか？」

校長は彼をにらみつけた。

「私に向かってそんな言い方をしないで！」—彼女は机を叩きながら叫んだ—「私は校長よ、私を敬いなさい！」

「僕だって敬意を払われるべきだ！」—リョウタは声を荒げた。

沈黙が部屋を支配し、彼らの重い呼吸だけが響いていた。やがて、校長が鋭い口調で話し始めた。

「あなたは1週間の停学よ。もしもう一度私を侮辱したら、即座に追放よ。さあ、教室に行きなさい。」

重い気持ちでリョウタは廊下を歩き続けた。涙がこぼれそうだったが、何とかこらえていた。教室に入ると、ユミ先生の暖かい声が迎えてくれた。

「リョウタ、ちょうど良かったわ。席に座って。」

彼は弱々しくうなずいた。「はい、先生」と言い、いつもの窓際の後ろの席に向かって歩いた。さっそく、ささやき声が聞こえ始めた。何人かは机と椅子を彼から遠ざけ、他の者は丸めた紙を彼に向かって投げた。無視しようとしたが、彼らの冷酷な言葉と笑い声は彼の周りで鳴り響いた。

「僕、本当に化け物なのかな？」—彼は窓に映る自分の姿を見つめながら思った。

昼休み、リョウタはいつもの避難場所である屋上に登った。バッグの中身を確認し、朝の慌ただしさでお弁当を忘れていたことに気づいた。膝を抱え、隅っこに座り、空腹と悲しみに耐えていた。

そのとき、ユミ先生が優しい笑顔で現れた。

「ここにいると思ったわ」—彼女は優しく言った。

リョウタは驚いて顔を上げた。

「ユミ先生…」

「今日は元気がないように見えたから。何か悩んでいることがあるの？話してみる？」

リョウタは目をそらしながら答えた。

「話しても無駄です、先生。いつも同じことですから…」

そのとき、リョウタの腹が大きな音を立てた。ユミ先生は小さく笑った。

「なるほど。お腹がいっぱいだと、きっと話すのも楽になるわね。はい、これ持ってきたわよ。いつも多めに持ってきてるの。」

彼女はバッグからきれい