第4話

 この世界には、魔王と呼ばれる魔物を統べる王がいる。

「魔王様」

鬼神のガルーラが、魔王の顔を見つめる。その姿を見ることができるのは、限られた者だけだった。

「なんだ?」

炎を体に纏わせ、角の生えた数十メートルある巨人が、ガルーラを見つめる。

「・・・・はい、クイーンスパイダーが殺されました」

ガルーラは、思った。(逃げたい・・・!)、と。

「そうか。例の聖遺物を持った女だな」

「そう思われます」

魔王グランは、絶対的なHPを持つ。そのおかげで、自らの炎で体を燃やされても、平然と生きていられるのだ。

「そうか。あの聖遺物は、元は我の物だ」

「はい、そうです」

「だから、返してもらわなければな」

聖遺物とは、奇跡が封じ込められた魔道具のことだ。無論。これは、神が生み出したものではない。

「さて、いくか」

魔王グランが、玉座から立ち上がる。人間に憎まれ、恐れられた。同じ、魔物にも恐れられた。絶望の化身が動く。

向かう場所は、大国ゼウス。

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