第3話

 神々に祝福を受けたこの世界は、誰もが悲しんだりはするけど、同時に人が人に、愛情を与えていた。そのため、戦争は起きなかった。

「でも、この世界は、神々に捨てられた。そう。別の世界に行ってしまったの」

「でも、神様が世界を捨てることなんてあるんですか?」、と僕は聞いてみる。

「確かにそうだけど。それが真実だから」

「そうなんですか」

少しの沈黙が続いた。だが、その沈黙がすぐに、終わる。

「そういえば、君はどこから来たの」、とアリーナが聞いてきた。

「僕は、そうですね。東の遠い国から来ました」

「えっ・・・・。それって・・・」

「知ってるんですか」

アリーナは、何も答えなかった。

「まあ、そんなことはいいの」

アリーナは、指をさし、言った。「あそこよ!あそこが、大国ゼウスよ」

「あっ」

枯れ果てた大地の真ん中に、そこだけオアシスがあった。

「じゃあ、行くわよ」

アリーナは、小さな一つの石を、取り出した。

「それは・・・?」

アリーナは、答えた。

「これはね。転移の石。これを使うと、あらかじめ決めておいた場所に、戻れるの」

「へー」

本当かどうかは、僕には、わからなかった。でも、アリーナが言うのなら、本当なのだろう。

「じゃあ」

「えっ・・・・なにこれ?」

アリーナは、僕を担ぎ上げると。「目をつぶってて」、と言う。

転移の石を地面に叩きつける。転移の石は、割れてしまう。そりゃそうだろ、と僕は思う。割れた石からは、光が溢れだした。その光は、僕とアリーナを包み込んだ。

次の瞬間。

「えっ、なにこれ」

広がった光景は、ゲームでしか見たことがない光景だった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る