第2話

なにこれ?ああ、これって、「死ぬ」、ということか・・・。

「オオォォォ」

角の生えた牛が僕めがけて、二足歩行で走ってくる。僕は恐怖で動けなくなった。もう自分の運命を受け入れて、目をつぶる。

「がっ、がぁぁぁぁ」、と悲鳴が上がる。それを聞いた僕は、目を開けた。

「大丈夫」、と僕にやさしく声をかけてくれる金髪の女の子。でも、持っているのは剣で、着ているものは、鎧だった。そして、その剣で、角の生えた牛が、真っ二つにされていた。

「あなたは?」

「私は、アリーナよ。あなたの名前は?」

「えっ・・・・あっ、港です」

「ミナト?変な名前ね」

何気ない会話をしていても、状況が変わることはなかった。

「ギャァァァァァ」

さっきよりもでかい魔物が僕たちめがけて走ってくる。えっ、キモっ。

「クイーンスパイダーね」

えっ、スパイダー?じゃあ、今僕の目の前にいるのは、蜘蛛!?

「逃げて!」

蜘蛛が、その足を、アリーナ目掛けて、振り下ろした。

「ギャァァァァ」、と次の瞬間。

「えっ・・・・なにを?」

「「なにを」、て、普通にぶった切ったのよ」

先ほど、アリーナ目掛けて、蜘蛛が振り下ろした足が、その剣で切られていた。

「さて、これでとどめよ!」

アリーナは剣を構えて、「精霊よ。我が道を示したまえ。アル・フーラ」

「ギャァァァッァ」

蜘蛛が、跡形もなくグチャグチャになった。ああ、もう訳が分からない。なんなんだよ。この世界・・・。

「大丈夫!ごめんね。少し、やりすぎた」

これが、「やりすぎた」、だと。僕の目の前の光景は、とても彼女が、手加減したとは思えなかった。

「ああ、この魔法を使うと、いつも、渓谷ができちゃうのよ。それより、あなたを保護するわ。付いて来て」

「あっ、はい・・・」

僕は言われるがままに、アリーナに着いて行った。

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