第10話『その組織は秘密らしい③』

「それで、早速頼みたい事があるんスけど」

「何でしょう?」

、知ってます?」

「・・・えぇ」

「最近、この辺りでスレンダーマンに似た人物を見たと言う報告があるんスよ」


キールが言うには、この数日で都市伝説が原因だと思われる案件が複数報告されているらしい。

その中の1件がスレンダーマンであると分かった。


「スレンダー症、スレンダーマンを見た者は発狂や止まらない鼻血、吐血しながらの咳と言った症状を起こすそうなんス。確認出来たのは3人、2人はもう症状が無くなり退院したんスけど、1人は間近で見た事から極度の発狂状態、止むなく拘束したままになってるっス」


キールは犠牲者である3人の写真を見せた。

そこには吐血と鼻血でベッドを血塗れにしている2人と少女と、白目を剥いて笑っている少年が写っていた。

退院した2人には事情聴取を行い、催眠にてスレンダーマンの記憶を封印した。

どうやら組織の中にその手の能力を持つ人がいるらしい。


「っ!?」

「ビックリさせて申し訳ないっス。ですが、これだけの被害が出てるんスよ」


キールは写真をしまうと、遥と連絡先を交換して帰って行った。


(口裂け女もまだ決着ついてないのに、新しい都市伝説まで・・・とにかく、早くこの力を使いこなさないと)


翌日、遥はキールに連絡をとり被害にあった子供達の通学路を歩いていた。

スレンダーマンは気に入った者をどこまでも追いかけさらう習性があり、犠牲になった内の1人がこの通学路を通ってる最中に出会ったらしい。


(住宅街だけど、帰る時間帯は仕事の人も多い・・・人目が無くなった所を狙われたのかな)


周りには店も転々としており、日中は人通りも多い。

だが、店が閉まる時間も早く日が落ちると街灯以外の灯りがなくなってしまう。


(丁度、時間的に夕暮れ時・・・店も周りに合わせて遅くまでは開けてないのか)


見ると、シャッターを閉める店が何軒かある。


「ん?」


ふと、夕日に照らされ伸びた影があった。

先を見ると白い人型の何かが立っている。

影の長さや距離をかんがみても明らかに大きい。


(スレンダーマン?こんな簡単に現れるなんて・・・)


滅鬼になった影響なのか、あれだけの恐怖を覚えた都市伝説と言う存在に身体の震えもない。

だが、見ていたそれが瞬間、激しい頭痛に見舞われた。


「つっ!?」

(これがスレンダー症?カナヅチで頭殴られたみたいな痛み・・・)


ゆらめくスレンダーマン(?)が近づいてくる。

姿がハッキリしてくると、頭痛が強くなってく。

本能で危険を感じた遥は一気にその場を逃げ出した。

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