第7話『変わる日常④』

なんとか無事に放課後を迎えた遥。

すっかり疲れ果て机に突っ伏していた。


「はる、大丈夫か?疲れ過ぎじゃね?」

「ちょっとね・・・」

「じゃぁ、はるちゃん私とデートしよ〜!お買い物して〜、カラオケ行って〜、お腹一杯食べよ!」

「お、楽しそうじゃん!」

「かず君も一緒にデートくる?3人でデートだ〜!」

「楽しそうね、文・・・」


変わる日常になったが、2人との関係は変わらない、それが遥にとっては何よりも嬉しかった。


「そういえばさ、昨日話してた口裂け女見たって奴がいたぞ」

「っ!?」


3人でファーストフード店へ向かう途中、和人が口裂け女について話し始めた。

遥の脳裏に昨日の口裂け女との事が浮かぶ。

曰く、部活の帰りだった友人の1人が口裂け女らしい後ろ姿を見たと言う事。

腕を抑えフラフラと歩いていた為、好奇心が勝ち追跡しようと思ったが、急に霧となって消えてしまったらしい。


(やっぱり、あの時倒しきれてなかったのか。被害が広がる前に何とかしたいけど、今のままじゃ同じ事の繰り返し・・・)

「口裂け女!?ほんとにいたんだ!」

「いゃ、元々は文が言い出した事じゃん?信じてなかった訳?」

「信じてたよ〜?でも、今はスレンダーマンが熱いんだよ!」

「トレンドあるの?ってか、スレンダーマンって?」

「かず君知らないの〜?はるちゃんは知ってる?」

「・・・うん、確かCreepypastaだよね」

「クリーピーパスタ?」

「そこは知らねぇのな」


Creepypastaクリーピーパスタとは、海外の都市伝説の名称である。

英語の『Creepy不気味な』と『Copy&pasteコピーペースト』を合わせたスラングとされている。


「海外の都市伝説って意味なんだね!」

「うん、海外のネットで広がった都市伝説はCreepypastaで調べられるね」

「で?スレンダーマンってのはどんな都市伝説なんだ?マンって事は男なんだよな?」

「そう、身長2〜3mのスーツ姿の男性で、背中から黒い触手を出せるらしい」

「キモ・・・」

「怖いよね〜」


スレンダーマン。

ネット社会が当たり前になった昨今、瞬く間に世界的人気を博した都市伝説の1つである。

身長2〜3m程、細身で手足の長いスーツ姿、蒼白い肌でスキンヘッドののっぺらぼう、背中から無数に黒い触手を生み出せる。

元々は通常の写真を心霊写真の様に加工した物だったが、ネットにより様々な要素が加えられ、1つの都市伝説として確立していった。


「なるほど、そう聞くと面白いな」

「でしょ!今度映画になるから一緒に観に行こ〜よ〜」


文が和人にダル絡みしている中、遥はこのスレンダーマンも実在しているのではないかと考えていた。

それが杞憂に終われば良いが・・・

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