第5話『変わる日常②』
(まぁ、ウチがお前の中にいたのは都市伝説としての特質意外の理由があるんだが・・・)
「ここからがウチがお前を呼んだ理由だ。ウチはもう消える、お前と同化した時点でウチの役目は終わり後はお前に任せるだけになった」
「は?消えるってお前・・・」
「聞けよ、時間がねぇ。ウチは都市伝説としての力を人間に継承するだけだ、だからお前にはウチの力の使い方を教えてやる」
「・・・分かった、教えて」
「ありがとよ・・・ウチの力は鬼の力、鬼ってのは分かりやすい力の象徴だ。誰もが一度は耳する鬼、それを纒う事でその力を引き出す」
滅鬼はそう言うと立ち上がり、遥の前に降りていく。
少しして、その身に炎が宿り赤い衣が包み込んだ。
「鬼の衣・赤。鬼の象徴の力を体現する衣だ。岩を片手で持ち上げ投げ飛ばす!衣自体もかなり硬いぜ?口裂け女のハサミなんて通さねぇ位にはな」
「確かに凄い力だった。力が溢れてくるってあぁいう事なんだね」
「今のお前の力じゃこれが限界だ。もっと強くなればウチの力を100%使える様になるだろ、知らねぇけど・・・」
(そこは適当なんだ・・・)
「都市伝説に生身で挑むのは不可能だ、しばらくは力に慣れる事だ。今日の感覚、忘れんじゃねぇぞ」
「わかった、ありがとう」
「おぅ、じゃぁそろそろ時間だし・・・」
滅鬼はキセルを咥え、大きく煙を吸い込む。
「はぁぁ・・・お前は、滅鬼としてじゃなく遥として生きろ。じゃぁな」
遥の頭を撫でる滅鬼の顔は、母の様に暖かった・・・
「ん・・・」
遥には見慣れた天井、すぐに自身の部屋だと分かった。
「なんか・・・身体が重い」
起き上がる時の身体が重かった。
何か重い物がのしかかる様な感覚。
更にパジャマを突っ張る感覚。
不思議に思いながらも寝ぼけたままフラフラと部屋を出た。
とりあえず顔を洗ってスッキリしようと洗面台へ向かい、鏡を見ると・・・
「え?・・・これ」
そこに写っていたのは、豊満に膨らんだ胸。
顔は変わらず自身なのは間違いない。
だが、明らかに谷間を作る胸がパジャマを張っているのが分かる。
「うわ、柔らか・・・じゃない!何かの悪戯?・・・じゃない!痛い!」
自身の胸を引っ張り苦痛に悶絶する。
一通り悶絶したのち、改めて胸を見る。
(本物だ・・・何で!?どうして!?まさか、口裂け女の呪い?いや、口裂け女は呪いをかける類の都市伝説じゃない・・・ならこれは、滅鬼のせい?)
滅鬼はあの身体付きから女性の可能性が高い。
遥と同化した事により、性別が変わってしまったのかと考えた。
(と、言う事は・・・)
遥は恐る恐るズボンに手をかける。
考えたくない最悪の状況。
自身が男性である象徴の確認。
意を決し、一気にズボンを脱ぐ。
(やっぱり無・・・ある!?)
世の中、王道展開が早々起きるわけではないのである。
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