第4話『変わる日常①』
遥はゆっくりと目を開ける。
見えるのは広がる暗闇と石の山。
「また・・・え?また死にかけてるの?」
精神世界へやってきた事がわかり再び自身の置かれた状況に絶対する。
「寝てるだけだ、心配すんなよ」
いつの間にか石の山に座って見下ろす滅鬼、呑気に持っていたキセルを咥える。
「滅鬼・・・さっきはありがとう」
「おぅ、気にするな。まぁ、多少動きづれぇ所はあったが妥協点だ」
「それで?寝てるだけなら、何でまたここに?」
「言っただろ?ウチには時間がねぇ、お前がウチを受け入れたからな。ウチと1つになったからここに引っ張ってくるのも簡単なんだよ」
滅鬼は上を向いて煙を吐く。
煙が消えるのを見届けると、再び遥に向き直す。
「ウチはもうすぐ消える」
「消えるって・・・」
「滅鬼はお前に渡した。その為のウチだ・・・ウチが産まれた意味だ」
「産まれた意味?」
先程までケラケラと笑って話していた滅鬼の雰囲気が変わった。
明らかに周りの空気も変わり、自然と姿勢が正される。
「ウチは、いゃ・・・ウチら都市伝説は、人が創り出した存在だ」
滅鬼はゆっくりと語りました。
人の言葉には力が宿る。
想いが宿った言葉は『
それは本来存在しない存在を現実とさせてしまう。
今から遥か昔、日本には妖怪と呼ばれる未知の存在が信じられていた。
それは様々な語り手や絵巻により人々に広がり、心から信じた言葉は言霊となりその存在を産み出し日本中に
妖怪やその他は、今は都市伝説として語り続かれている。
「言霊はウチらにとって核だ、心から強く信じて発した言葉であればある程、その存在は強固になる。そして、人によって産み出されたウチらは人が語った通りに行動する」
「それって・・・」
「そぅ、お前らが好きなホラーってやつは人を襲うんだろぅ?」
戦慄する。
都市伝説の多くは人を襲い、目を覆いたくなる程の体験をする。
それを知ってる遥にはこれから起こる事が容易に想像出来てしまう。
「でも、何で今更?」
「今更じゃねぇよ。今回たまたまお前が出会っただけで、今までも起こってた事だ。神隠し、行方不明、原因不問の死・・・それらは都市伝説のせいで起こってる可能性が高いって訳だ」
「そんな・・・一体どうすれば・・・」
「だから、ウチがいる」
そこでビシッと自分を指差して滅鬼がドヤる。
誇らしげに突き出した胸が強調され遥は思わず目を逸らした。
「ウチはな、対都市伝説としてある組織が言霊の力で創った都市伝説なんだよ」
「まさか!いや、確かに滅鬼なんて話し聞いた事もない・・・」
「だろ?」
滅鬼が言うには、都市伝説は言霊が集まった核を中心に肉体を形成、或いは現象を引き起こす。
現代兵器では核を破壊する事が出来ない為、同じく都市伝説である滅鬼を産み出した。
滅鬼が核を破壊する事で、その物語自体が無かった事となり人々の記憶からも消える・・・との事。
とは言え、それはあくまでそういう存在として滅鬼が産まれたと言うだけであり、それが出来るかは確認出来ていない。
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