第12話

 月光の森は再び静寂に包まれた。だが、これまでの森とは明らかに違う。

 森の木々は瑞々しく芽吹きだし、神秘的な森に戻ってゆく。

 再び目覚めた無数の精霊たちが飛び交って、安らぎの音楽を奏で続ける。

 明け方の桃色の空の下。少女の一夜の冒険は幕を閉じた。生まれ変わった森を抜けて、リズはルナに導かれて家へと帰ってゆく。

「人間と精霊が共に生きる未来がここにはあるの」

 ルナの声がする。

 振り返れば、もうルナの姿はそこにはない。

「ただいま、お母さ……」

「リズ、どれだけ心配したと思っているの!もう、二度とリズに会えないんじゃないかって、思ったんだから」

 翌朝、リズは自らの不在がどれほど家族を不安にさせたのかを知った。だが、一夜にして起きた変化が、着実に村を変え始めているという事実を体感していた。

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