第11話

 歌いきり、リズは目を開けた。

 捻じ曲がって枯れていた木々や草に生命力が戻っていく。鳥が空を飛び交い始め、精霊が姿を現す。紛れもなく、リズはこの森を変えたのだ。

 途端に、どっと疲れが襲ってくる。

 声を上げようとして、リズは自分が声を出すことができないことに気がついた。

 途端、リズに声がかかる。

「ありがとう、リズ。 この森を選んでくれて」

 声の主はルナだった。きっとリズを導いたあの歌は、かつてのルナの声だったのだろうと思わせる声だ。

 すっとルナがリズの頭に手をかざす。

「ルナ、さん」

 再びリズは声を出せるようになった。

 もうすぐ夜が明ける。振り向けば、地面に刻まれたルナの無数の文字が朝日に照らされ始めていた。

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