第10話

『リズの声を捧げて』

「私の、声を?」

『そう。 それがあなたが選ばれた理由』

 ルナは淡々とリズに告げた。

『あなたには、泉から精霊の歌が聞こえたでしょう。 導かれたのでしょう。 その通りに歌って』

 捧げるということは、歌ってしまえばリズに声は戻らないということ。

 だが、リズが歌わなければ森は2度と元に戻ることはない。

 泉で見た光景を取り戻すには一つしか方法はない。

 リズは、ここに導かれた時のことを必死で思い出しながら歌う。

 森に、生き物に、精霊に、人々に語りかけるようにリズは歌う。

 森にリズの歌が響き渡った。

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