第3話

 つい、数時間前のことだった。ちょうど月が昇ってきてリズはベットで眠ろうとしていた時のことだった。微かな歌声がリズの耳に届いた。透けるような透明感があって、それでいて芯のある女性の声。

「なんだろう。森から聞こえてくる……?」

 この世のものではないほど美しい歌声に誘われて、リズは今おどろおどろしい森を歩いているという訳なのである。

 しばらく、リズは森を歩いていた。どれほど奥まで歩いて来てしまったのか、何時間経ったのか、リズには全く分からなかった。

「ひぁっ」

 ふと、前を見ると、青白い光が猛スピードで近づいてくる。リズは瞬き一つできないほどの恐怖を覚えた。

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