第38話 新たな封書
呼び止められた真は真凜の方へ駆け寄った。
「先輩! どうしたんですか? まさか、また?」
「うん……」
真凜は震える手で封書を真に渡す。2人は家の中へ入ると、まだ誰も帰っていない。リビングへ移動すると、真は封書を開けた。
中には真といる写真が入っていた。そして、メモ用紙が入っていてそこには、『その男は誰? 僕のことを好きじゃないなんて、おかしい』と書かれていた。
「警察に言ったのに……」
真凜は蚊の鳴くような声で呟く。
「今度は、私といる柏木くんだって危ないんじゃない?」
「大丈夫です。先輩、僕言いましたよね?
僕が先輩を守ります。まだ彼氏はいるかしれないですけど、守らせてください。年下の僕じゃ頼りないかもしれないですけど……」
そう言った真の瞳には強い意志が感じられた。
「ありがとう……柏木くん。柏木くんは頼りなくなんてないよ。凄く頼りにしてる。とても頼もしいと思ってるよ」
「先輩……ありがとうございます」
真は嬉しそうに微笑んだ。
真凜はこんな時なのに真の言葉が嬉しくて、自分の放った言葉に恥ずかしくなってしまう。
「僕が話をして来ます」
「え? 危ないよ!」
「警察に話しても駄目なら、話をするしかないでしょう?」
「でも!」
「大丈夫です、安心して下さい、先輩」
真は真凜を安心させようと優しく真凛に微笑んだ。
「あ。そうだ……先輩」
「何?」
「今度……花火大会ありますよね?」
「うん」
「一緒に……行きませんか?」
真は真凛に少しでも元気になってほしくて、デートの誘いをかけた。
突然真凜の心臓はドキドキし始める。
「……行きたい。あ、でも」
「彼氏……ですか?」
「うん。別れ話はしたんだけど、甲子園終わるまで待ってって言われて。多分、誘われるんじゃないかな?」
「そうなんですか……それなら皆で行きますか?」
「皆で?」
「はい、友達とか皆で」
「……うん、声かけてみる」
――皆でって言われてがっかりするなんて。気持ちを伝えたいけど、別れてないし……。
真凜は翌日、菜帆と駿に声をかけた。菜帆も駿も喜んで行くと答えた。その話をどこからか聞きつけたさやかは、私も行くと誘ってもいないのに言い出した為、断るわけにも行かず、さやかも行くことになった。
「先輩、花火大会楽しみですね」
さやかは部活帰りに真凛に声をかけてきた。
「さやかちゃん」
さやかは突然真凜の近くに寄ると小声で囁いて来た。
「私、花火大会で告白します」
「え……」
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