第35話 幼馴染

 翌日、部活が終わると真は真凛に話しかけた。


「先輩」


「なあに? 柏木くん」


「ストーカーが収まるまで家まで送り迎えさせてください」


「え? でも柏木くんの家からじゃ遠くない?」


「大丈夫です。先輩を守れるなら」


――意外とストレートなのよね、柏木くんって。


 ドキドキする心臓を抑えながら真凜は返事をした。


「ありがとう、それじゃ、お言葉に甘えようかな」


「はい!」


 そうしてしばらくの間、真凜と真は一緒に登下校することになった。



 2人が家へ着くと玄関付近に20歳前後の男性が立っていた。その男性は真凛に気がつくとこちらに笑顔を向けた。


「あ、さとるお兄ちゃん!」


「え? お兄ちゃん?」


 驚く真は真凜へ尋ねる。


「うん、幼馴染なの」


「真凜、今インターホン押したら応答ないからさ。良かったよ、帰ってきて」


 そう言いながら隣にいる真に悟は視線を移す。

「彼氏?」


「違います」


 突然話を振られ否定はするものの、真は動揺を隠せないようだ。動きがぎこちない。


「……あ、僕。帰ります」


 真は突然方向転換して帰ろうとする。しかし、悟は匠と同様に真を引き止めた。


「え? 上がんなよ」


「……いえ、でも……」


「悟お兄ちゃん、ダメだよ」


「良いじゃん、ちょっと位。ってオレの家じゃないけど……」


「そうだよ、悟お兄ちゃんの家じゃないんだから」


 結局、今回も真は家へ上がることになった。


「デジャブかな?」


 玄関へ上がりながら真は呟く。


「デジャブ?」


「はい、この間と状況が似てます……」


「確かにね。お兄ちゃんと悟お兄ちゃん、性格似てるんだよね……」


 コソコソと2人が話してると、奥から匠の声が聞こえる。


「何してんだよ、2人ともー」


「いけない、呼ばれちゃったね、行こう」



* * *



「へぇ~、劇でマリアとエドワーズやるんだ?」


 3人はリビングで紅茶やコーヒーを飲みながらお茶菓子を食べている。


「はい」


「私がマリアで彼がエドワーズ」


「そっか。オレさ、大学のサークルで前世とか生まれ変わりとか、あと……UFOはいるのかとか研究してるんだけど」


「……UFO」


「はい」


「あると思うよ。前世」


「悟お兄ちゃんは信じるの?」


「実際さ、どこかの国では前世の記憶を持って産まれた子供とかもいるんだよね」


「聞いたことあります」


「でしょ? だからさ、この時代にマリアとエドワーズの生まれ変わりがいたりしたら凄いよね」


 悟はやや興奮気味に話をする。


「UFOは置いとくとして、生まれ変わりは私もあると思う」


「何、真凜はUFO信じないの?」


「……UFOは何か怖いでしょ?」


「まぁ、普通の人はそう言うよね」


「普通の人?」


 真が思わず悟に尋ねる。


「ああ、うん。ほら、一般的な宇宙人のイメージって確かに怖いんだよ。だけど、宇宙人も色々いてさ。確かに怖いのもいるけど、良い宇宙人もいるんだよ。地球人類の進化を見守ってくれるような……」


「色々な宇宙人がいるんですか? 人間と同じですね」


「柏木くん、意外とそういう話好きなの?」


 目を輝かせながら話を聞く真に真凜は問いかけた。


「いえ、目に見えない物はちょっと信じ難いですけど、宇宙人はいたら面白そうかなって思ったんです」


「柏木くん、君、話分かるね」


「悟お兄ちゃん?」

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