第38話 クスリ漬け教師、娘を売る
「パパの様子が、明らかにおかしい」
高校生の
もうすぐ2学期が終わるのだが、まだ冬休みでもないのに学校に務めている様子が無い。警察もやっているチョークを使って駐停車しているかどうかを判別する方法をやってみたら、平日にも関わらずに車に乗っていない日が何日もあった。
まさかとは思うが、本当のことを知らなくては。今日は土曜日。家にいるパパに声をかけた。
「パパ! お仕事はどうしたの? 学校に行ってないようだけど何かあったの?」
「うるさい! パパなら大丈夫だ。大丈夫だと言ったら大丈夫なんだ! 余計な心配はしなくていいんだ!」
薬物依存するようになって、パパの性格はすっかり変わってしまった。
昔は話し合う余地はあったのに、今では「黙ってオレの言う事を聞け」の一点張りで、全く話し合いにならない。
同じ学校に務める校長先生なら何かを知ってるかも。
「やぁ
彼女を出迎えてくれた
目の下には濃いクマが浮かんでおり、
「大丈夫です。
「? 私に用とは珍しいな。何があったんだい?」
「本当は電話で済まそうと思ってたんですけど何度も番号変えてたり、抗議の電話が殺到しているそうですからこうやって直接話を聞くことにしたんです。良いですよね?」
「あ、ああ」
出迎えてくれた
「
「!!」
それを聞いた瞬間、
「
「
ただでさえ
その上で教師が薬物依存者だと知られたらどうなるか分かったもんじゃない。警察には黙っておくから、辞めてくれないか? って退職させたんだ」
「そんな……」
彼女の父親は仕事もしないで薬物に
認めたくなかった。実の父親がどんどん壊れていく様は見たくなかった。出来ればウソであって欲しかったが、ここまでの事実を突きつけられたら反論のしようがない。
「……そうですか」
「聞きたかったっていうのは、
「ええそうです。最近パパが学校に務めていないようなので、何かがあったのかを聞きたかっただけです。失礼します」
そう言って彼女は家を後にした。
「ただいまぁ」
「ヤァお帰りなさイ」
父親が薬物依存で解雇された。という話を聞いた後に帰宅した
彼女の父親に
「!? 誰!?」
「落ち着いてくださいヨ。ワタシあなたのパパの知り合いの知り合い。今日は代金を引き取りに来ただけだヨ」
中国人特有の
「ワタシあなたのお父さんにクスリを分割払いで売ることにしたのヨ。その代金としてあなたの身柄を買い取ったネ。それで今日代金の引き取りに来たわけだヨ」
「へ……? 私を買った? な、何を言ってるんですか?」
彼女が意味が分かってないまま言われた言葉をオウム返しのように言った後、部屋の中から土足で男たち3人が現れ、彼女を囲む。
「!? 誰!?」
「ワタシの部下ネ。さあ来い! 船出に間に合わなくなるヨ!」
「待って! パパは!? パパはどうしたのよ!?」
「ふーむ……いいヨ。最後にパパさんと顔合わせくらいは許すヨ『ブシのナサケ』ネ」
男たちが周りに囲まれている。という条件付きだが、彼女は父親の部屋までたどり着いた。開けるとそこにはパパが注射器片手に倒れていた。
肌に触れると、土のように冷たくなっていた。肌の感覚は生きている人間そのままなのに体温を感じさせない、不気味な感覚だった。
「パパ……!? パパ!? どうしたのよパパ!?」
「
その表情には緊張感が全くない。計画通り事が運んだ、とでも言いたげなものだ。
実際には彼が「最高にご機嫌になれる」とうそをついて「致死量の200倍」の量の覚醒剤を一気に打たせて死なせたのだ。
契約相手が死ねば本来は商品として渡す予定だったクスリを渡さなくて済む。後には代金である
「待ってよ! どういうことなのこれは!? 何でパパが……」
「あーもう、お前うるさいネ」
男は隠し持っていたスタンガンを彼女に当て、気絶させる。その後彼女の家の車に乗せて走り去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます