第21話 仲直り料ちょうだい
「事件の続報です。市立船城高校は昨日、クラスメートをナイフで刺した生徒に対し退学処分を出したと発表しました」
朝のTV、それも地元のケーブルテレビによるローカルなニュースを放送する番組に市立船城高校の事件の続報が報道されていた。
(ソウカソウカ
それを見た彼はかつて
♪♪~♪
「誰だ!?」
「ヤァヤァ
人ノ事刺シテオイテ『これは正当防衛だ』ナンテ言ウノハオ前シカイナイダロ?」
まるで他人事のような発言をかます元クラスメートに、キレた。
「
「オイオイ『ブチ殺す』ダナンテイウ言葉ヲ安易ニ使ウナヨ。相変ワラズ暴力的ダナァ
「何が目当てだ? 何が目当てだと聞いてるんだよ!! 答えろ!!」
「何ガ目当テ、ダッテ? ソンナノ『空気ヲ読メバ』スグニ分カル事ジャナイカ。
「そうやって余裕かまして会話するんじゃねぇ!! 死にてえのか!! ええっ!?」
「言ッテオクガ昔ミタイニ『仲直り料』ハイラナイシ、マシテヤ渡スツモリモ無イカラナ」
「……
◇◇◇
話は中学2年の10月にさかのぼる……。
放課後の教室、そこには
「
2人は先生に言われるがまま、仲直りの握手をした……その直後だ。
「じゃあ
……仲直り料? 笑顔でそんな事を言う
「何だよその仲直り料って」
「だから仲直り料よ。仲直りするためのお金だよ。知らないの?」
「結局俺がカネ払うんだろ!? 普段のカツアゲと何が違うっていうんだ!?」
「オイ
「カツアゲ」という言葉を聞いて担任教師の
「
とんでもない大ウソである。先生は自分の娘が日常的にカツアゲしているのを知っていた。そして彼女のためにそれを日夜
「そうよ、それに私は
ただ
「それこそありもしないことだろうが! スタンガンで痛めつけてるくせに何を言ってるんだ!」
それを聞いた
「いつの話だ!? 何年何月何日何時間何分何秒地球が何回回った時に言ったんだ!? 答えられないのならお前が
もちろん証拠は残ってるよな!? 証拠も無いのに
「俺が悪いってのか!? 俺がお前らの言う事に従わないから間違っている、って言いたいのか!?」
「あら、ようやく分かったのね
「その通りだ! お前が
「テメェら!」
いじめは楽しい。圧倒的に、のめり込めるほどに、夢中になれる。それこそ遠足前日の夜の「早く明日が来ないかな」というワクワクが永遠に続く位に、楽しい事だ。
その「楽しい」いじめを妨害されるのは、3時のおやつを奪われること位に悪い事なのである。
だから「自分がされたら嫌な事はしないように」と言っても「そんなのどうでもよくなる位に楽しい
なのでいじめは止めようがない。
◇◇◇
「
「オイオイ、俺ハ大切ナ友達ノ高校生活ヲ壊スタメニ動イテイルンジャナイゾ? タダ、アリノママノ真実ヲ伝エテルダケデ害ヲ与エルコトハシテナイサ」
「テメェ、レイプ魔の子供のくせに舐めた事言ってんじゃねえぞ。レイプ魔の子供だなんて生きてるだけで周りに迷惑かけるだけのカスなんだからな」
「ウンウン、オ前ノ友達ヲヤルノハ命ガケダヨナ」
「もういい。次あったらガチで殺す」
ブツリ。ツー、ツー、ツー……
通話が切れた。
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