第17話 ヤブをつつかれヘビが出る
「「わが校にいじめなんて一切ない! 今までも! これからも! ただの1件たりとも! いじめは! 『無い』んだ!!」」
5月がもうすぐ終わろうとしていた、ある日。
4月に市立船城中学校へと入学したばかりの男子生徒、
今年3月に中学を卒業した3つ上の兄から聞かされた情報を頼りに、当時兄のクラスメートだった今では高校生の先輩方に話を聞いて「いじめはあった」と確信した。
それを担任の
そこから怒声で2人揃って「いじめは無かった」と断言し、噂話を「
「これだけ証言が揃ってるんですよ!? だったら『あった』としか言えないでしょ!?」
「証言は証言だ! 証言はいくらでも捏造可能なんだよ! 有りもしないウソでオレ達を犯罪者にするつもりなのか!? そんなの許さんぞ!」
あくまで証言は証言だ。と
「先生! だったら証言者は全員、先生を騙して犯罪者にしたかった! とでも言いたいんですか!? それこそその証拠はどこにあるんですか!?」
「お前は当事者なのか!? 当時お前はまだ小学生だっただろうが! 中学の事を何も知らないくせに何を言ってるんだ! こんなデタラメな噂話をされると困るんだよ!」
「そうだ! 迷惑なんだよそんな噂話は! 有りもしないデタラメを広められると迷惑なんだよ!」
怒声に怒声が重なる中大人2名はハァハァ、と荒い息をしてお互いに生徒をにらみつけるように見つめる。男の
「そうやってデマを広める側につくとなると、こっちだって手はあるぞ」
「高校へ行くには俺達教師の推薦文が必要なんだが、君の心がけ次第では入れる所にも入れなくなるかもしれないんだぞ?」
「!! 脅しているんですか!?」
「脅しじゃない。ただ、これから3年間続く中学生活の心がけ次第では『何故か』どこの高校も不合格を出してくる可能性があるかもしれない。という可能性の話をしただけさ」
「そうだ。これはアドバイスだ。決して脅しているわけじゃない。教師が生徒を特権を使って脅しただなんて知れたら大問題になるからな」
「……」
完全な「教師特権」を使った脅しだ。脅しではない、と言うが彼らはウソをつくのに慣れ切ってしまっているのか、教師として絶対にやってはいけないことをしているくせに、悪びれる様子を一切見せていない。
もちろん、それでいて目の前の生徒を「折れさせる」意味もきちんと含めている。
学校の教師という、若き青年たちを導く立場にいる人間としては、断固として許されない位の酷すぎる大人だ。
「……分かりました、そこまで言うのなら先生たちを信じます」
「そうかそうか、分かってくれたか。いやー良かった」
「いやぁ、
汚い大人たちは、よくもまぁそこまで調子のいい言葉を吐き出せるな? という位、舌を回していた。
「では、失礼します」
(ふー。せっかく
クラス分けも隠ぺいしやすいように、わざと
(全く、ここで
不穏分子が大人しく帰ったのを見て、2人は醜い事を胸に秘めていた……
『続報だよ。俺の担任に昔あったらしいいじめについて聞いたけど、なぜか校長と一緒に「高校に行かせなくするぞ」って脅されたよ。最悪だぜ』
≪うわ酷いなー。それカンペキに「黒」だぜ。どこの中学だよ? せっかくだから言ってくれよ≫
『ごめん。表向きには「誰にも言っちゃダメだ」っていう話だから詳しい事は言えない』
≪えー? そんなこと言ったら自力で調べるぜ?≫
『辞めてくださいよ。こうやってSNSで話するのもヤバい事なんだよ?』
≪うーむ、煮え切らんな。独自に調べていいか?≫
『好きにして。じゃあもう寝るから』
≪はーい、お休みー≫
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