第15話 これ以上あの子達を責めないで!
「……
「? ワカリマシタヨ」
児童保護施設にいた
「
あの2人が通ってる高校であの子たちがいじめられるように仕向けたんですって!? そんな事、許されると思ってるの!?」
先生は普段の「余程の事」が無い限り穏やかな性格からは想像もできない程の、頭に血液が一気にのぼった上での怒声と怒号をぶつけてくる。
彼女にとっては正直な話、
その2人を傷つける行為は「余程の事」ではないのだろう。
彼女は以前、
それでも好きか嫌いかで言えば間違いなく嫌い、もっと言えば「最近になって急に嫌いになった」人間だった。
「ソンナニモ
「
「悪イ事ナンテシテナイネ。中学校デ散々借リタ『貸し』や『ツケ』ヲ返シテルダケダ。利子ヲタップリト付ケテナ」
「な……!!
だからこそなのか、先生と彼の話し合いは全くの平行線で決して交わることは無かった。
人というのは変われない。一度「こうだ」と信じたらよほどのことが無い限り変われない。人によってはそれこそ、自分が変わる位なら死んだ方がましだ。と思う位には。
「ああそう! そんなこと言うのね! だったらこの施設を出て行きなさい!」
「!!」
先生もそうで、
という常識は、
彼女は目の前の孤児よりも、優等生である
(……ココマデトハ、思ワナカッタ)
ここまで、そう「ここまで」自分よりもあの2人を取るとは思っておらず、予想をはるかに超えていた。
「……考エル時間ヲ下サイ」
彼は少しだけ弱気にそう吐いた。
「……分かったわ。私としては、これ以上バカなマネをするのは辞めて欲しいけどね」
「……」
彼は無言で先生の部屋を出た。
コレカラドウシヨウ……。
彼女のもとで育てられた彼には、それがよく分かっていた。
いっそのこと本当に施設を出ようか? でもそうなると生活はどうなる? 中卒を雇ってくれるところがどこにあるだろうか?
学歴上、コンビニや飲食店のバイトでも雇ってくれるかどうか怪しいし、ハローワークに通っても似たようなものだろう。
でもあの2人への復讐は止めるつもりは全くないし、あり得ない選択肢でもある……堂々巡りだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます