第13話 鉄拳制裁
1週間の停学処分を下された
夕方で空は赤く、カラスの鳴き声が聞こえていた。
「あら!
「
「ええ、いるわよ。呼ぶ?」
「いや、いいです。部屋は分かってますから行きますね」
前回、スマホを取りに来た時には会わなかった、施設でフクシュウ狂ヒの保護者をやっている先生は、まるで推しのアイドル本人が家まで来たかのようにとんでもなく上機嫌だった。
それだけ
彼がいじめをやっていることに全く気付いていないその様はラノベの「難聴系主人公」のようだ、と言われても反論出来ない。
「
「ヤレヤレ。スグニソウヤッテ暴力ニ出ルナンテ随分ト野蛮ナ話ダナ。友達相手ナラマズハ話シ合ウノガ筋ジャナイノカイ?」
「アァ!? だれがいつテメェなんかの事を友達呼ばわりしたんだ? 言って見ろや」
「中学時代ニ『オレ達は友達だから当然、
それを聞くと、
「テメェ。レイプ魔の子供の分際で偉そうな事言うんじゃねえぞ。テメェの命なんてチリ以下なんだぞ? 身の程をわきまえろカスが!! 死にてえのか!?」
「死ニタイカ? ト来タカ。オイオイ友達ニ向カッテ随分ト物騒ナ話ダナ。言ッテオクガココハ中学校ジャナイゾ? 学校トイウ閉鎖空間デモナケレバ校長ヤ担任教師トイッタ味方モイナイゾ?
俺ヲ殺シタラ確実ニ「人殺し」トシテニュースニ載ルシ、犯罪歴ガ付イテマトモナ生活ヲ送レナクナルゾ? ソレデモイイノナラ殺スガイイ」
「オレに向かって何だその態度は? テメェ……」
そこまで言うと、ドアがノックされる。
「邪魔して悪かったかな?
「ええ、大事なクラスメートでしたよ。大事な友達だっていうのは今でも変わっていませんよ」
それを聞いて施設職員である
ルンルン気分で彼女がドアを閉めると、さっきの話の再開だ。
「エート、ドンナ話ダッタカナ? ツイサッキ友達ダ、ッテ言ッタジャナイカ? モウ忘レタノカ?」
「もういい、しゃべるな。テメェの屁理屈聞いてると
「イヤァ、オ前ノ友達ヲヤルノハ命ガケダヨナァ。常ニ罵倒サレル毎日ダカラナァ」
「しゃべるなと言ってるだろ。その声聞いてるだけで頭に来るって何度言ったら分かるんだ?」
「ヤレヤレ、友達付キ合イモ楽ジャナイナ。特ニ学校デ話題ノ人物ト来タラ、ナオサラダカラナ」
そこまでやっても一切懲りない相手についに業を煮やして
相手が意識を失う直前まで絞めた、その時だ。
♪~♪♪
「もしもし、父さん? オレは今
どうやら彼の父親が帰りの遅いのを心配して電話をかけて来たらしい。
「今日はこの辺にしてやる。次変な事やったらガチで殺すからな」
大丈夫、
フクシュウ狂ヒは一見、中学生時代とあまり変わらない位にボコボコにされてボロボロになっていたが、勝利を確信していた。
相手は明らかに焦っていた……恋人の全裸画像が世界中に広まり、しかも完全に無くすことは出来ないだなんて想像もしてなかったからだ。
それに、聞いた話では高校を停学になったそう。彼の高校生活にも着実にダメージが入っている。
フクシュウ狂ヒは相手が暴力を振るう以外に抵抗手段が無いのを分かった上で、これからどう追い詰めようかとあれこれ思索する……それは実に楽しい時間だった。
彼は人殺しが大嫌いだった。人を殺すというのはバカのやる事だ。地球に人間として生を受けて産まれてきたことを心の底から後悔させるのが復讐というものだ。
悲しみや罪悪感による涙が枯れて泣きたくても泣けない。人類が考えられうる限りの謝罪、その全てを否定し永遠に苦しめ続ける。
それこそが復讐であり、たかがナイフで刺すだなんてバカすぎてやってられないものだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます