第11話 学校ぐるみのいじめ隠蔽
キーンコーンカーンコーン……
市立船城中学校は帰りのホームルームを終えて生徒たちが自宅へと帰る、あるいは部活動を始める時間となった。
1年A組の生徒である
何か自分たち生徒には絶対に言えそうにない訳があるようだった。
そう言えば3月に中学を卒業した3つ上の兄の担任も3年間ずっと
「兄さん、中学生だった頃の話を聞きたいんだけど、いいかな?
確か兄さんも中学の3年間は
「……」
弟からの願い出に、兄は表情を曇らせ固まる。
「
「? 兄さん? どうしたんだよ急に?」
「男と男の約束だ。守り通せるか? って聞いてるんだよ。まずは守れるか守れないかを聞きたい」
「わ、分かったよ……誰にも言わない約束だよ。守るよ」
弟、
「
「!! 何だって!? あ、いや。続けてくれ」
兄は話を続ける。
「俺の居たクラスでは『
『
相手は「母親が14歳の時に強姦されて産まれた子供」っていう出目で散々いびられ続けていたんだよ」
「……何で黙ってたんだよ兄さん!」
正義感の強い弟、
「……怖かったんだ。下手に助けたら俺までいじめられるかもしれない。って思ったら、怖くて動けなかったんだ。
ただでさえ相手は親や教師受けがいい上に親が校長や担任なんだぜ? いじめの証拠は全部握りつぶされて勝ち目がなくて、ただ見ているだけしかできなかったんだ。
だからだよ。だから誰にも打ち明けることなく胸の中にしまい続けていたんだ。俺も共犯なんだよ……
「……」
弟は黙ったままだ。兄はさらに話を続ける。
「結局そいつは3年の3学期になると学校にはほとんど来なくなったよ。
精神を病んで自殺未遂をやったそうだけど、それすらネタにしていじめられていたんだ。誰だって精神がやられるよ。
何せ給食の時間に全裸にしてシチューを身体にかけて遊んだり、12月の寒さの中で4階の廊下を歩かされたりして、酷いもんだったよ。俺がいじめを黙認するなんて幻滅しただろ?」
「……酷い話だ。兄さんもいじめをやった奴もみんなそうだ」
兄といじめの中心人物、そしていじめっ子の親たちに対する侮辱だ。
「そう思われても仕方ないな。俺だって本当は助けたかったけど、そうしたら俺もいじめられるかもしれないって思って怖くて動けなかったんだ。
何せ相手のバックには校長や担任教師がいたから誰も逆らえなかったんだ」
「……もういい。聞きたいことは全部聞いたよ。ありがとう」
『うちの学校、少なくても去年からいじめがあったらしい。いじめっ子の親が校長やクラス担任で、全部もみ消していたらしい。酷い話だ』
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