第6話 瀬史琉(せしる)のスマホ
4月中旬の日曜日。原宿にあるカフェの1つで、
「オイ、何の用だ?」
いじっていたスマホをテーブルに置き、汚物まみれのブタを見るような目線とマフィアのようなドスを利かせた声で
それらは彼の端正な顔立ちからは到底考えられないような、どぎつい物だった。
「特ニ用ナンテ無イノダガ?」
「不愉快なんだよテメェの存在自体が。失せろ。オレの視界に入ってくるんじゃねぇ。消えろよ」
(ねぇ、彼もしかして
ちょうどそのころ、
「
「あ、
友人、それも中学の頃は見なかった同級生を見ると芸歴30年以上の名俳優が「役に乗り移った」のを思わせるような変わりぶりを見せる。席を立って女友達の元へと駆けて行った。
「……」
フクシュウ狂ヒはついさっきまで
おそらく高校生になってから出来た女友達との偶然の再会で、ついうっかり頭からすっぽ抜けたのだろう。
スマホは一般人が普段持ち歩いている物の中では他の物とは比較にならないほど個人情報がみっしりと詰まっている。
これを使わない手などありえない! フクシュウ狂ヒは何のためらいもなくそれに手を伸ばし、家に持ち帰った。
翌日の高校にて……
「お早う、
「ねぇ
「私、
クラスメートヲ裸ニシテ給食ノシチューヲブッカケテアソンダリ、首輪ヲツケテ校内ヲ散歩サセテイマシタ。
私ノ父親ハ通ッテタ中学ノ校長デ、
弱イ奴ヲイジメルノガ大好キナダニデス。人様ノ人生ヲネジ曲ゲルノガ楽シクテタマリマセン」
フォローしている友達全員に同じメッセージが送信されていた。
「
せっかく良い友達になれると思ってたのに……なんていうか、裏切られたって感じする。もう話しかけないでね。フォロー外したから」
その日の夕方、
「オイ
「アア、アレカ? 返シテヤルヨ。モウ用済ミダカラナ」
フクシュウ狂ヒが昨日拾った彼のスマホを差し出すと、奪い取るように彼の手から取った。
「あーあ、気持ちわりぃ。スマホ買いなおすとカネがかかるから我慢してやるけどガチでキモイなお前」
「ウンウン。オ前ノ友達ヲヤルノハ大変ダカラナァ」
「オメェ調子こいてんじゃねえぞ。ここで仕置きは辞めとくが今度は許さねえからな」
(ククク……明日アイツガドンナ顔ヲスルノカ。考エタダケデモユカイダナ)
フクシュウ狂ヒがスリープ状態にしていたパソコンを開くと、全裸の
(サーテ、ショータイムノ幕開ケダ)
ニンマリとした「いびつな」笑顔で彼は笑っていた。これからあの2人にどんなことが起きるのか? それを想像するだけでも心がおどり、最高にワクワクできた。
それこそ小学生の遠足前日の夜に「早く明日が来ないかなぁ?」と眠れなくなる位の「はち切れそうなほどのワクワク」が出来た。
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