第2話『探索』

俺はあの化物に見つからないように

みんなを探し始める。

玄関から見て正面の所に地下と書いた扉がある。


牧「開けてみるか」


「ガチャガチャガチャ」


開かない。鍵が掛かっている。


牧「ここは駄目だな、あっちの扉に行こう」


最初行った扉とは反対の右側の扉に向かう。

そこには食堂と書いてあった。


牧「ここが食堂だったのか」


食堂の鍵を使って扉を開ける。


「ガチャリ」


「ガチャ」


俺は扉からゆっくりと顔を覗かせる。


牧「あの化物はいなそうだな」


牧 (そもそもあの化物は1体だけなのか?)

(あいつとはもう会いたくないな)


懐中電灯で当たりを照らしてみると

暖炉がある。あとはテーブル。

テーブルの上に資料がある。読んでみよう。


     5月11日

 『にこちゃん計画について』


牧「ふっ、なんだよそれ、で続きは……」


 『ブラックが持ってきてくれたサンプルの』

 『おかげでクローン化が順調に進んでいる』

 『引き続き、"にこちゃん"の実験記録を頼む』

 『レッド、ブルー、グリーン、イエロー、ピンク』

 『シルバー、ゴールド』

 『お前達も自分の持ち場で引き続き実験を頼む』

 『いつか私もどこかの実験場を視察する予定だ』

 『じゃあまた連絡する』

 『"世界の笑顔のために"』


影の組織『スマイル』ボス.シャドウ


牧「何だこれ?訳がわからないな」

 「色分けなんかして、戦隊ヒーローか?」

 「クローン化とか、にこちゃんとか意味……」


牧(まさか、にこちゃんってあの化物の事か?)

 (確かにあいつの口元"ニコって"していたような)

 (いや、今はあまり考えないようにしよう)


暖炉を調べてみることにした。

暖炉には燃やせそうな木材などある。


牧「けどこんな所で燃やしたら火事になるだろ」

 「違うとこに行くか、ん?」



何かを感じた俺は暖炉の隣を見ると

そこには死体が転がっていた。


牧「うっ……」


よく見るとその死体は内臓が食べられている?


牧「うっ……っん」


その瞬間、嘔吐しそうになるが、視線を逸らし

手で口を押さえて必死に堪える。


正面を見ると右側と左側に扉がある。

そして俺は右側の扉に向かった。


「ガチャ」


扉は普通に開いた。

ここも少し長い廊下があり、また扉がある。


「ガチャ」


恐る恐る覗き込むと、そこには村木がいた。


 牧「村木!無事だったか」


村木「牧、ここはマジでやばいよ」

  「俺らだけでもいいから早く脱出しよう」


 牧「他の2人を置いていけないよ」

  「それに玄関には鍵が掛かってる」


村木「マジかよ、お前それよりも見たか?化物を」

 

 牧「あぁ見たよ、だからこそ2人を探さないと」

  「村木も一緒に探そう」


村木「お前本気で言ってるの?」

  「あの化物に殺されるかもしれないんだぞ?」


 牧「でも探すよ、白川も荒沢さんも」

  「だから一緒に……」


村木「悪い、俺は無理だ」

  「行きたいなら1人で行け」

  「俺はここにいる、玄関が開いたら教えてくれ」


 牧「……わかった」

  「けどここにも化物が来るかもしれないぞ」


村木「大丈夫、そこのロッカーに隠れるから」


 牧「ふっ、そうか」


すぐにこの部屋を出ようと思ったが

一応何かないか調べる事にした。

テーブルの上を見るとまた資料があった。


村木「あぁ、それか」

  「なんか実験記録がどうとか書いてあったな」

  「ま、どうでもいいから詳しくは読んでないが」


俺は食堂で見た資料の

『にこちゃん計画』がどうも気になって

この資料に目を通してみる事にした。



『にこちゃん実験記録』

 6月18日16時32分

実験場に3名、誘導成功。

すぐに、にこちゃんが3名に攻撃を開始。

にこちゃんの殴打で3名死亡。時間は約1分。

殺害後、にこちゃんが3名の内臓を捕食。

にこちゃんは腕力が異常に強いもよう。

               『ブラック』



 牧「6月18日?最近じゃないか」

  「食堂の死体も内臓がなかった」

  「やっぱりあの化物の仕業か」

  (ならあの化物の名前は恐らく、にこちゃん?)


村木「おい、何1人でブツブツ喋ってんだ?」


 牧「あ、いやなんでもない」

  (村木は今かなり動揺してるし)

  (資料の内容や俺の色々な考えは黙っておこう)

  (まっ、俺もまだ落ちついてはいないが)

  (そういえば村木がここに来てるなら)

  (食堂の死体は見たのか?聞いてみるか)


 牧「あ、そういえばこういう事」

  「あまり言いたくないんだけど」

  「食堂の死体見た?」


村木「えっ?そんなのあったのか?」

  「俺は必死に逃げてたからか気づいてないな」


 牧「逃げてたって、村木達も追われてたのか?」

  「いや単純に考えて村木も化物の事を」

  「知ってるから当たり前か」


村木「そういえば牧があっちの扉に行ってからの」

  「出来事を喋ってなかったな」



〜遡ること20分前〜


白川「よーし、じゃあ帰るか」


村木「いや、流石にそれは酷いだろ」


荒沢「そうよ、翔司君が可哀想よ」


白川「チッ、つまんねぇの」


「ガチャ」


白川「おぉ、もう来たのか……って」

  「おい、何だコイツ?キモすぎだろ」


白川達の前に、にこちゃんが現れる。


にこちゃん「………………」


村木「キモいじゃなくてコイツ何かやばいよ!」


荒沢「2人とも!逃げて!」


村木「うわぁぁぁあぁぁ」


白川「くそが」



〜そして現在〜


村木「っていう事があって3人とも」

  「バラバラに逃げたんだ」

  「だから2人はどこ行ったかわからない」


 牧「そうか、けど1つわかった事がある」


村木「なんだよ?」


 牧「あの化物は2人いる」


村木「なんだって?いや普通に考えてそうか」

  「俺らが追いかけられてる時に」

  「牧も追われてたんだもんな」


 牧「そう、だから奴等は2人いる……」

  「いや、もしかしたらそれ以上いるかも」


村木「やめろよ、とりあえず俺は隠れてる」


 牧「わかった、じゃあそろそろ行くよ」

  「村木、気をつけろよ」


村木「牧も気をつけろ、俺は大丈夫だ」


そして村木部屋の扉を開ける。


「ガチャ」


また少し長い廊下に出て食堂に戻る。


 牧「ここの食堂は慣れそうにないな」


今度は食堂の左側の扉を開ける。


「ガチャ」


こちらも少し長い廊下が続いている。

歩いていると廊下の突き当りに扉がある。

突き当りから左側のさらに奥にも扉ある。


 牧「先に奥の扉に行くか」


奥の扉をゆっくり開ける。


「キィーーガチャ」


ゆっくりと中に入る。

懐中電灯で当たりを照らす。

すると奥の方に光る物ある。

奥まで行きそれを拾い上げる。


 牧「これは、サファイア?」

 牧「なんでこんな物が、一応持っておこう」


 牧(ん?)


何か背後から気配を感じる。

唾液をゆっくり飲み込み。


「ゴクリ」


ゆっくり振り向くとそこには……





にこちゃんがいた。


にこちゃん「………………」


また心臓の鼓動が早くなる。


「ドクン、ドクン、ドクン」


 牧(ヤバい、ヤバい逃げ場がない、どうする?)


「ゴツ」


足に何かが当たる。

すると足元に手のひらサイズの石ある。


 牧(一か八かこいつ投げて当てるしかない)


そして俺は手のひらサイズの石を思いっ切り

にこちゃんの顔面、目がけてぶん投げた。


 牧「おぉぉらっ!」


  「ドゴン」


にこちゃん「グぎぁぁ"ぁ"」


見事に顔面に命中した。

にこちゃんの動きが止まってる?


 牧「今しかないっ!」


全力で走って先程の突き当りの扉に入る。


  「ガチャン」


 牧「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、危なかった」

  「あの石がなかったら多分やられてた」


意外と、にこちゃんは追って来ない。

もしかして視界に入っていないと

追って来ないのか?

少し気持ちを落ち着かせて

この部屋の探索を始める。




 牧「この部屋は他の部屋に比べると」

  「けっこう広いな」


奥の方に歩いて行くと倉庫のようなものがある。

倉庫を調べてみるとシャッターで閉まっており

六角形のくぼみがある。


 牧「この六角形のくぼみに何か差し込んで」

  「このシャッターを開けるみたいだな」


倉庫の周りを見ると

ビール瓶が何十本も置いてある。


 牧「何でこんなにビール瓶が?まぁいいか」


また周りの探索を始める。

倉庫の隣の壁には大きなヒビが入っている。

更にその近くには死体が横たわっていた。


 牧「うっ……またか」


その死体は驚く事に頭部がなくなっていた。


 牧「マジかよ、内臓だけじゃなく頭まで」


死体は見ないように

倉庫とは反対側の方に歩いて行くと

テーブルが2つあり

テーブルの上には資料が2枚置いてあった。


 牧「また資料か、読んでみよう」


『にこちゃん実験記録2』

6月27日18時5分

1名を誘導に成功。

その1名は何故か拳銃を所持しており

にこちゃんに銃弾を発泡。

銃弾は命中し、少し動きが止まったが

すぐに動き始まる。

その後1名の頭部を殴打し頭部を捕食。

にこちゃんはどこの部位でも食べるもよう。

にこちゃんは銃弾で少し動きが止まるが無傷。

耐久力もかなり高い様子。

恐らく人肉を食べる事で、にこちゃんは強化される。

                 『ブラック』


 

 牧「銃弾も効かないって、どうすれば」

  「けど大きな衝撃を与えれば少し動きが」

  「止まるのは覚えておくか」

  「とりあえず奴の相手はしない方がいいな」

   

もう1枚の資料にも読んでみる事に。


  『1→2→3→4の順番に入力』


 牧「えっ?どういう事?」

  「とりあえず覚えておくか」


ここの部屋にも荒沢さんと白川は居なかった。

倉庫部屋を出て、もう一度玄関ホールに

戻り行ってない部屋を探索する事にした。

玄関ホールから、また左側の扉を開けて

すぐ近くには2階行きの階段があったが

初めて、にこちゃんに会った部屋の近くにも

扉があったので先にそこに行く事にした。


「ガチャ」


開けるとそこは小さな部屋で銅像が置いてある。


 牧「何だ?この銅像は」


よく見ると何かをはめれそうなくぼみが2つある。


 牧「これって、もしかして」


先程拾ったサファイアをはめてみた。

 

 「カチ」


 牧「ビンゴ!」


予想通りにサファイアが

はまったが、もう1つは持っていない。


 牧「もう1つは持ってないな」

  「もしそれらしい物を見つけたら」

  「またここに戻ってこよう」


銅像部屋を後にし2階へと階段を上る。


「ギシ、ギシィ、ギシ」


 牧「大丈夫か?この階段、今にでも壊れそうだ」


そして2階に着くと広いフロアがある。

目の前には4つの部屋の扉があり

正面から向かって1番右側にも扉がある。

先に4つの部屋に行く事にした。

部屋の扉の横には1号室と表記されていた。


 牧「1号室?じゃあ隣は2号、3号、4号か」


とりあえず1号室の扉を開ける。


「ガチャ」


懐中電灯で照らすと意外と中が狭い。

奥の壁を見てみると、壁に3と書いてある。


 牧「3番?これだけか?」


部屋の中を良く見てみるが何もない。

2号室を見てみる事に。


「ガチャ」


 牧「2号室も同じ感じか」

  「ここは8番」


次は3号室に。


 牧「3号室は4番」


最後に4号室へ。


 牧「ここで最後だ、5番か」

  「けどこの数字はどういう……」


その時、あの資料を思い出す。


『1→2→3→4の順番に入力』


 

 牧「そうか!わかったぞ!」

  「この壁の数字を順番に並べると、3845」

  「だからこの数字をどこかに入力するんだ」


答えは解けたが肝心の入力する場所がない。


 牧「この数字は覚えておこう」

  「とりあえず奥の扉を開けよう」



「ガチャ」


ゆっくりと中を覗く……






するとそこには荒沢さんがいた。


                    第3話へ

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