にこちゃん
黒い林檎
第1話『遭遇』
俺は"笑顔高校"の高校1年生。
部活は陸上部。
7月7日
今日は
とある廃虚に肝試しにきていた。
この廃虚は"必ず"行方不明者が出ると噂されている。
そして俺達はまだ知らなかった。
この後、アイツが待っているということに……
意外と大きい廃虚だ。
白川が廃虚の玄関扉を開ける。
「ギギィィーー」
中に入ると砂埃や蜘蛛の巣
カビの匂い、壁のひび割れなどが酷い。
白川「すげ~広い場所だなぁ、ここはホールか?」
「この雰囲気、バケモンが出てきそうだな」
荒沢「ちょっとやめてよ、怖いじゃん」
白川「あ?最初にお前が提案したんだろうが」
「何が怖いだよ、クソが」
牧「おい白川、荒沢さんに強くあたんなよ」
荒沢さんは俺の大好きな人でもある。
荒沢さんの見た目は黒髪で清楚な美少女って感じ。
んでこの白川は色黒スキンヘッドのヤンキーだな。
村木「まぁまぁ3人とも落ち着いてよ」
「んで先にどのルートで行く?」
村木は、髪型が少し長くてもっさりしてて
目が細くて顔がジャガイモみたい。
牧「じゃあ先に……」
『ドドォォーン!!』
凄まじい物音がした。
4人「!!!!!」
4人、一斉に左側を向く。
白川「なんだよ、今の」
牧「わからない……けど何かいる」
そう言って俺は白川の方を向くと
白川がニヤリとして嫌な顔をしている。
白川「いい事思いついた」
「1人ずつ行って何がいるか確かめに行こうぜ」
荒沢「嘘でしょ、本気で言ってる?」
「全員で歩く約束でしょ」
村木「マジで?1人では、さすがに」
白川「いや俺らは肝試しにきたんだ、だろ?」
「おい、牧、お前先行けよ」
「さっき、じゃあ先に行きたかったって」
「言いかけてただろ?」(ニヤリ)
牧「何で俺が……くっ」
「わかった、これは肝試しだ、行ってくるよ」
「そのかわり、皆待っててくれよ」
この後、俺は後悔する事になる。
村木「勇気あるな〜」
白川「わかった、わかった」(ニヤリ)
荒沢「気をつけてね、翔司君」
村木はそっけないな、白川は相変わらず嫌な顔。
けど荒沢さんだけは心配そうに見つめてくれる。
牧「ありがとう、荒沢さん」
そして俺は音が鳴った方の左側の扉を開く。
「キィーー」
牧 (今にも壊れそうな扉だな)
少し長い廊下がある。
歩いていると、その先にまた扉がある。
牧「音が鳴ってたのはここの部屋か?」
「ガチャ」
その扉を開けると薄暗くホコリが舞っている。
足元には都合良く懐中電灯が落ちていた。
牧「ホラーゲームかな?」
俺はそれを拾い上げる。
「グシャリ」
牧 (ん?なんだ?)
奇妙な音が聞こえる。
拾った懐中電灯で音の鳴った方を
照らすと、なんとそこには……
異常に頭のデカい何かがいた。
そして死体?を食べている。
牧「えっ……」
俺の心臓が「ドクン、ドクン」と音が鳴る。
そして、そいつは声のした
俺の方をゆっくり振り向く……
よく見ると頭だけじゃない。
腕もデカすぎる。足も、手も。
身長は2mくらいある。
そして腕に包帯?みたいなのを巻いている。
口元は口角が少し上がって
まるで"ニコっと"笑ってるみたいだ。
後は何より目がキモすぎる。
目の焦点が、両目、端っこにいってる。
白目の部分には黒い斑点がいっぱいある。
まるで数年前に流行ったタピオカだな。
ふと、そんな事を考えてるうちに奴は動きだした。
化物?「ヴギァ"ァ"ァ"ァ"ェ"ぇぇ」
牧「うわぁああぁぁぁ」
今にも心臓が張り裂けそうだが
それでも死に物狂いで走った。
化物が俺に向かって走ってくる。
化物「グギャア"ぁ"ぁ"ァ"ァぁ」
牧「はぁ、はぁ、はぁ」
「ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ」
こいつデカいくせに意外と足が速い。
俺は陸上部で足の速さには少し自信があるが
化物が背中のすぐ近くにいるのが直感的にわかる。
さっきの少し長い廊下がやたら長く感じる。
皆のとこに戻ってあの玄関から早く出なければ。
長い廊下の扉を力強く開ける。
「ドゴンッ」
牧「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
「よし、着いた」
しかしホールに辿り着くが誰もいない。
牧「おいおい、何の冗談だよ」
「はっ!」
安心しきってたがあの化物が後ろに……
牧「化物もいない、どうゆう事だ」
「ガチャガチャガチャ」
玄関の扉を開けようとしたが開かない。
牧「マジかよ」
ふと辺りを見渡すと鍵が落ちている。
牧「これは食堂の鍵?」
「はぁ、ホラーゲームかよ」
「よし、怖いけど皆を探すか」
俺は荒沢さん、村木、白川を探し始める事にした。
それが俺の甘い考えだった。
これはまだ悪夢の始まりに過ぎない……
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