「ズボンのあの場所…」やめな。それは、SF的予知能力じゃ…

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 未来が見えるときに…。「そ、その力は…!」カンスト日本のSF的能力にも、いろいろあるっていうことで~

 SF的予知能力で、ゆるハプニング。

「あ、先輩!」

 「よう、後輩!」

 散歩も、良いもんだ。

 が、猛暑もすぎ、風が寒く感じられるようになったころに注意。

 思いがけないできごとが、待っている。

 男仲間 2人、ばったり再会。

「先輩?ちょっと、良いですか?」

 「何だよ」

 「先輩に、大切な話があるんです」

 「…大切な話?」

 「はい!」

 先輩も後輩も、真剣な顔。

 「それ、今ここで、立ちながら言わなくちゃならない話なのか?」

 「…実は、先輩?」

 「何だよ」

 「自分、最近、SF的な予知能力を持ってしまいまして」

 「…SF的予知能力だと?」

 半ば、あきれ顔になる先輩。

 後輩のほうは、いたって真剣なのに。

 「先輩?これから先に何が起こるのか、事前にわかる力を持ってしまったんです!」

 「へえ…」

 「このままだと、日本はどんどん、世界から取り残されていくようですね。いろいろな意味で、カンスト状態」

 「それ、SF的な予知能力か?」

 「そうです」

 「日本は、すでに落ちているが…」 

 「はい?」

 「いや、何でも」

 「ファンタジーの世界のように、わくわくする日本にはなりませんね」

 「…ファンタジー、か。お前は、学生時代から変わらないな」

 「すみません」

 「まあ、良いよ」

 「予知、予知!」

 「…で?」

 「はい?」

 「お前は、どこまで予知できるようになれたんだ?」

 「どこまで、ですか?」

 「仮に、これから 300年後の世界を予知できたとしてもさ」

 「何です、先輩?」

 「俺らにはあまり関係ないと、いうか…。 300年後じゃあ、危機感が出ない予知になりそうじゃないか」

 言うねえ、先輩。

 「…先輩は、もっと身近なことを予知できるようになってくれと言いたいんですか?」

 「まあ、そんなところだ」

 「…」

 「そのほうが、聞かされる側も真剣になるじゃないかな」

 「…」

 無言になっていく、後輩。

 先輩の顔を見て、大きくため息をはいた。

 「…わかりました。 300年後じゃなく、今すぐ起こるようなことを予知します」

 「それなら、良い」

 「いえ…」

 「?」

 「やっぱり、今もう起きていることを」

 「そうか」

 「今…」

 「何だ?」

 「先輩に、申し上げます」

 「何だ?」

 「今、先輩のズボンのやばい場所が開いています」

 ちがう。

 それは、SF的な能力ではない。

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