第50話 戦闘(2)




ウズクマルタカは経験が豊かな戦士らしく、遅滞なく駆け出し、中腰になっていた敵の一人を一刀で斬ってしまった。 あらかじめ連携を合わせてみたわけでもないのに、ミルの射撃をもっとも活かせる動きだった。

ものすごい状況判断能力だ。


「クアアッ!」


まるで刃のついている戦車みたいだ。


ウズクマルタカが通り過ぎる途端、きらめく剣光とともに不良たちが血をまき散らしながら次々と倒れていった。 一人を斬り、真っすぐに身を抜けながらその場に攻め込んでくるもう一人を斬る。決して背中を敵に見せない素早いステップで、水の流れのように奴らの間をすり抜ける。


あっという間に5人の敵が地面に転がった。 倒れたやつらは微動だにしなかった。


「何してんだ、このクズども! 早くあのオークからやっつけろ!」


イマエールの怒声に何人かの敵がさらにウズクマルタカに飛びかかり、私の方にも3人が駆け寄ってきた。その中ではそれなりに賢いやつらだ。 近寄れば真っ二つに割れるところのウズクマルタカの方に行くより、どうせ戦うなら私の方が楽だということだろう。


「いいぜ、一回ぶつかってみようじゃねーかよ!」


ウズクマルタカの戦いは、見ているだけでも私に3つの大きな教えを与えてくれた。


その一は、常に冷静であること、


二つ目は、絶対に後を取られないこと、


そして三つ目。


「一発で終わらせること!」


ミルには1対多数の接戦は避けるようにと言われたが、無理な話だ。 このような状況で可能なはずがない。 ならば、一人を相手するたびに、少なくともその一人は行動不能にしなければならない。さもないとあっという間に囲まれる。


「アウトロー!」


短く強い気合と同時に一番早く私に到達したやつの膝をねらった。すでに三回目、その威力を発揮するアウトローのボールを攻略するやり方で行うフルスイングだ。今度も、鋼鉄のバットはやつの脛に命中した。


「グッ!」


しかし以前とは違って、私は素早くよろめくやつに第2撃を与えた。横腹に強いスマッシュまでくらったやつはその場で倒れ、起き上がれなくなった。特に私が以前より残酷になったわけではない。


ただ、確実に相手を沈黙させる必要が生じただけだ。


「このガキが!」


また一人の不良が片手にダガーを握って飛びかかった。ウズクマルタカのバックステップを真似して素早く後ろへ下がった。ダガーはついさっきまで私の胴体があった空間を突き刺してきて、ちょうど良い位置に止まった。


「ど真ん中!」


真ん中のストライクを飛ばすアッパースイング。

最も集中的にバッターの体重を積めるように設計された現代技術のスイングは、正確にやつの手を打った。手首の骨がつぶれる音が鳴り響き、ダガーは空を飛んだ。


「ダ、ダメ......」


壊れた手首をつかんで、やつは哀れな表情をして見せたが、それさえ私にはこの上なく憎らしかった。少し前までは、私たちを殺すだの、女を売り払うだのと言っていた連中に、涙を見せてもらっても何ともない。いや、むしろもっと消してしまいたくなる。


「ダメじゃない。」


敵の顔面にバットのヘッドが突っ込まれた。


「カッー!」


折れた歯と鼻血を同時に空に噴き出しながら倒れたやつを蹴り押して、3人目の迎える態勢を整った。


「あとひとつ!」




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