男に裏切られた私、親友で幼馴染の財閥令嬢の従兄弟に糾弾される

  秀男さんの言葉に私の胸にズキリと突き刺さる。百合花に私が相応しくない事は私が1番理解している。だから、私は……


「相応しいとか相応しくないとかではなく、私が茜を愛してるから、茜を嫁にしているの。貴方にとやかく言われる筋合いはないわ」


百合花はハッキリとそう告げる。その言葉に怒りの感情がこもっていて、秀男さんは言葉に詰まる。その秀男さんをフォローするように、高美さんが百合花の前に来て告げる。


「百合花さん。貴方もいい大人なのだから、子供じみた感情ではなく、東堂家として相応しい対応をするべきではないかしら」


「……何が言いたいのでしょうか?叔母様」


「そのままの意味よ。貴方は東堂家の本家の1人娘なのだから、それに相応しい相手の家柄の相手と結婚するべきではなくて?」


高美さんは私や私の家族を見てバカにするような目で嘲笑する。その高美さんの態度に色んな感情がごちゃ混ぜになり、思わず俯いてしまう。


「随分と私の親友の家族をバカにしているが、お前が今いるこの家は宗介君の会社が建てたものだが」


「は?」


「それだけではなく、東堂家の系列会社の建設にも宗介君の淺間建設会社が関わっている」


徹おじさんの一言に私は驚き、思わずお父さんの方を振り向く。お父さんは照れたように頭の後ろをかく。


「いやあぁ〜!照れるなぁ〜!って言っても、この家を建てたのは家の爺さんの爺さんだけどな!」


「だが、最近この家のリフォームをやったのは紛れもなく宗ちゃんだろ。少なくとも、俺は宗ちゃんも宗ちゃんのお爺さん達と同じ建設の腕はあると思っているよ」


徹おじさんとお父さんの会話に、本当にうちのお父さんや、お父さんの会社が関わっていた事を実感する。


「け!?けど!それは!家が関わっているおかげであって……」


「言っておくが、浅間建設の建設能力の高さは有名で、他の4大財閥からも依頼される程だぞ」


高美さんはしどろもどに反論するも、徹おじさんにキッパリと言い返される。


「ねぇ、お姉ちゃん。家がそんなに凄いって知ってた?」


「……全然」


  美香が私に近づいてそう聞いてきたので、私は素直に答えを返した。


「貴方達が知らないのは無理ないわね。お父さんは基本仕事の話を家に持ち込む事を嫌う主義だしね。お父さんや、お爺さん達も、自分達が十分に稼げる分だけ稼いで、お客様が満足する建設出来ればそれでいいって感じだからね。だから、会社の大きさ的には普通の中小企業とそんなに変わらないわ」


私達の会話を聞いていたらしいお母さんがそう説明してくれる。私の父や私の父の会社の知られざる事実に驚きっぱなしの私だが、そんな私を秀男さんは指さす。


「そ!その女の会社が凄くても!この女自身はどうだ!?この女はただの小さな広告企画会社に勤める平社員だろ!そんな女が百合花さんに相応しいと!?」


  秀男さんの言葉に再び私の胸がズキリと痛む。秀男さんを百合花が相手を凍てつかせるような瞳で睨むが、秀男さんの言葉に反論したのは咲良さんだった。


「言っておくけど、謎の妨害がなければ、茜ちゃんは家の会社にトップの成績で合格していたわよ」


咲良さんの言葉に私だけでなく、秀男さんも驚いて咲良さんの方を向く。


「書類審査は申し分ないし、面接でも受け答えや自己アピールも文句のつけようもなかったと、当時の面接官が言っていたわ。それだけに、第3次選考に来なかったのが惜しかったと言われていたわ」


私がそんなに高く評価されていた事に、驚いて目が丸くなる私。


「それに、当然だが私達も今の彼女の現状を調べたが、その小さな広告会社で、数々の企画を成功させて売り上げに貢献しているそうだ」


咲良さんに続き薫さんもそう言葉を続ける。2人の言葉に今度は恥ずかしさで俯く。


「そういう訳だ。それに先程も百合花が言ったが、百合花が茜君を好きだから茜君を嫁に貰ったんだ。そして、それを私が認めたんだ。それで十分だろ」


「で!?ですが!?」


「お兄様!」


「悪いが今日は両家の祝いの場。関係ない者は退場してもらう」


徹おじさんの有無を言わさぬ一言で、数人の黒服サングラスの男性達が現れ、騒ぐ2人を無理矢理連れて退場させた。

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男に裏切られた私、親友で幼馴染の財閥令嬢の嫁になりました 風間 シンヤ @kazamasinya

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