男に裏切られた私、親友で幼馴染の財閥令嬢の家で荷物を取り戻す話をする

  とにかく必死で3人を宥めた私、お父さんもおじさんも落ち着いてくれた。百合花も怖い笑顔は消えてないがようやく落ち着いてくれた。


「しかし……またしても、その元彼に不審な点があるな……茜君。その部屋を仲介した不動産屋はどこだい?」


「えっ、あの……TOUDOUマンです……」


「それって、うちの系列会社の不動産屋よね……そこの人間が不正するとは思わないけど……」


薫さんと咲良さんは私の言葉を受け考え込むように顎に手をあてそう言った。


「まぁ、それも気になるのは分かるが、それよりもやる事があんだろ」


今まで黙って私の話を聞いていた麗花さんがここでようやく口を開き、皆麗花さんの方を振り向く。麗花さんはビールを一口含み


「まずは、その下衆だったか?そのクズ男から茜の荷物を取り戻す方が先決だろ」


「おぉ!確かに麗花の言う通りだ!よしゃ!茜君!私が直々に行って荷物を取り返してくるからな!ついでに、そいつらもとっちめてくれるッ!!」


「そう言う事なら俺も付き添うぜ!徹ちゃん!」


「ちょっ!?お父さんにおじさんも!?結局さっきと同じ事しようとしないで!?」


1話前と全く同じ行動をし始める2人を止める。そんな2人に制止の言葉をかけたのは、先程までお父さん達と同じことをしようとしていた百合花だった。


「2人共落ち着いて。茜は私の嫁よ。だから、茜の荷物は私が回収するのが筋でしょ」


「むっ……それもそうだな……」


「決まりね。静音しずね


「はい。百合花様」


突然、百合花の背後に黒スーツにサングラスのポニーテールの美女が現れる。


「話は聞いていたわね。そのクソゲス野郎の所から茜の荷物を取り返してきなさい」


「はい。かしこまりました」


「あっ!?いや!?ちょっと待って!?」


百合花と静音と呼ばれた美人さんとどんどん話が進み、私は慌てて2人に制止の言葉をかけると、百合花は若干不服そうな表情で私を見た。


「何?茜はまだクズ男に情けをかけるつもりなの?それとも、まだその男に未練が……」


「いや!?あんな裏切られ方されてそんなものは微塵もないし!荷物も返ってくるならそれにこした事はないけど……その……ベッドとソファは……私が買った物ではあるけど、そこであの2人がイチャイチャしていたと思うと……正直思い出したくもないしいらないかなって……」


私が俯きながらそう言う。2人はしばし沈黙したが、百合花がゆっくりと溜息を吐いた。


「そう言う訳よ。静音。茜の望むようにして」


「はい。かしこまりました」


「それと、部屋は引っ越すから荷物は全部ここに運んでちょうだい」


「かしこまりました」


「って!?ちょっ!?引越しって何!?」


百合花の言葉に驚き、私は思わず百合花に声をかけると、百合花は「あぁ、そう言えば言ってなかったわね」と言ってニッコリと笑い


「ほら、茜と結婚したんだから、あの部屋では色々手狭でしょ」


「いや!?全然広すぎるぐらいなんですけど!?」


  具体的な広さは分からないけど、普通に5人家族でも余裕で暮らせるぐらいの広さはあったはずだ。


「それに、うちの会社の子や事務所の子達からも、もっとセキュリティの高い所に住んでくださいって言われてるのよねぇ。あまり高い部屋だと茜が萎縮して来なくなるから、今の部屋にしていたけど、もうそれも気にする必要もなくなったものね」


百合花は有名人を沢山輩出している「東堂スターズ」の事務所を運営している会社の社長を務めている。だから、その社長がセキュリティが高い部屋に住まなきゃいけないのは分かるんだけど、今の部屋だって十分セキュリティは整ってるんだけど……

  そんな私の思いは、色々驚きすぎて口に出せずにいると、百合花のお父さんが豪快に笑って立ち上がる。


「よし!とりあえず話は決まったって事で!再び百合花と茜君の結婚を祝う宴をはじめ……」


「その宴!!ちょっと待ったぁ〜ーーー!!!」


おじさんの一言で宴を再開しようと声をあげたその時、謎の男が私達のいる部屋に乱入してきた。

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